Tuesday 1 September 2009

1.ラダックの中へ

 上海でマフィアと一悶着あって、すっからかんになってしまった僕は、キングフィッシャーエアラインの機内でいらいらしていたが、人間なんてけっこう現金なもので、ふと窓の外に見える景色の素晴らしさにそんな事は吹き飛んでしまっていた。

 機内の客たちはざわめき出し、立ち上がってみんな右の窓による。窓の外に向けて一斉にカメラが向けられる。飛行機が少し右に傾く。こっちによるんじゃねぇー危ないじゃないかと思ったが、同時にこのまま落ちてもいいかとも思った。ちょっとだけ神を感じた瞬間だった。

 飛行機が着陸態勢に入った。タイヤを大きく滑らせながら滑走路に侵入する。飛行機は激しく減速しながら走り、しだいにゆっくりと歩き出す。そして飛行機が止まった。タラップが設置され、僕らは飛行機から吐き出される。僕はタラップの階段を一歩踏み出して、目を細めつつ、手のひらで顔を覆った。太陽があまりにも眩しかったのだ。一瞬、異邦人のムルソーとシンクロする。そしてタラップを降りきった時、僕はラダックの一部となる。

 この時は、これから待ち受けている数多くのラダックでの出来事が、これからの僕の人生に深く、しかも徹底的に、きざみ込まれる事になろうとはこの時は思っても見なかった。

ladakh range from airplane


 飛行機の窓からインダス川が見える。ドライマウンテンをバックにラダックの中を流れる川沿いに広がる緑が印象的。

himaraya mountain from airplane


 三千メートルから七千メートル級の山々が連なる。手前にはラダックの山々が、遥か彼方にはヒマラヤ山脈が広がっている。

Leh from airplane


 ラダックの都レーの街が眼下に広がる。着陸前の息をのむ風景だ。

Indus river from airplane


 乾燥したラダックの風景に一筋のインダス川がすばらしく栄える。

ladakh range from airplane


 空はどこまでも青く、朝日に照らされたラダックは優しい大地に抱かれている。

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