2014年11月3日月曜日

43.マナリ行きと世界のロングトレイル。


朝の4時半、僕はマナリ行きのおんぼろバスに飛び乗った。



ラダックはスリナガルの大洪水の影響で、ずっとインターネット回線の不通が続いている。明日は大丈夫だ、明日には開通するとのラダックの人々や僕たちの願いも虚しく、回線が途切れた状態の、山の孤島的状況となってから数週間が経つ。9月の2日から6日の間、ジャンムー&カシミール州のスリナガルからジャンムーにかけては暴れる海のような雨が降り、300人以上の死者と多数の行方不明者、そして隣接するパキスタン側でも多数の死者が出ているという情報がラダックに入ってきている。一時60万人以上の人々が陸の孤島となった地域に取り残されて、ライフラインも寸断され、依然インド軍による救出が続いていた。2000近くもの村が被災しているとのことだ。通信施設は広域で破壊されていて復旧できる見込みは当分ないという話も聞いている。きっと日本ではニュースのタイムラインには流れるが、次の日には誰も覚えていないのだろうなと思うと、少し悲しくなる。レーの街中では、自然発生的に街角のいたるところで災害援助のための募金スペースが出来上がっている。パキスタンも含めたこのエリアでは、近年カタストロフィー的洪水が多く発生するようになっている。特に2010年のパキスタン、インド(ラダック)での大洪水は、世界の災害史にも残るほどの、とてもひどいものだった。この地域の洪水はクライメート・バリアブル(自然な気象変動)の影響よりも、クライメート・チェンジ(人為的な気象変動)の影響が大きいとの報告もある。


チケットの手配等で僕は、インターネットに接続する環境がどうしても必要だったので、下界に降りることとした。スリナガル・ジャンムールートは洪水の影響で寸断されている。観光シーズン末のエアー・チケット代はとても高い。おのずと残された道はバスによってのマナリ経由で下界に向かう選択肢しかなかった。
バスには多くの人が乗っており、僕は通路の床に座ることとした。すでに日本人が二人とレーで知り合ったひろたか君がここラダックから出国するために乗り込んでいる。バスは震え、けたたましくエンジンが吠えると早速走り出した。バスから見える朝の薄暗いレーの町はとても静かで、空気はきりりと引き締まり、犬の遠吠えも、人が発する喧騒も、濃い群青色の靄に隠れ、ラダックの孤高の自然だけが、まだ町を徘徊していた。レーからマナリまで、483キロメーター、名古屋から新潟ほどの距離だろうか、おんぼろバスに揺られながらのこの距離はかなり大変だと容易に想像がつく。ラダックのトレイル・コースは最長で何キロメーターあるのだろうかと、ふと考えてみたくなる。そして世界のトレイル・コースは一体全体どんなものかしらとちょっと考えてみたくなる。



アメリカの三大トレイル
アパラチアン・トレイル        約3,500キロメーター





トレイルのコースはほぼアパラチア山脈の嶺に沿っており、グレートスモーキー山脈や、ブルーリッジ山脈等のアパラチア山脈を構成する山脈や、グレート・スモーキー山脈国立公園(テネシー州)、シェナンドー国立公園(バージニア州)等の国立公園、州立公園が含まれる。(ウィキペディアより抜粋)



パシフィック・クレスト・トレイル    4,000キロメーター以上





アメリカ=メキシコ国境からアメリカ=カナダ国境まで、アメリカ西海岸を南北に縦走する。カリフォルニア州内の山地 —— ラグナ山脈、サンジャシント山脈、サンバーナディーノ山脈、サン・ガブリエル山脈、リーブル山地、テハチャピ山地、シエラ・ネバダ山脈を、オレゴン州・ワシントン州ではカスケード山脈を越える。(ウィキペディアより抜粋)



コンチネンタル・ディバイド・トレイル 約5,000キロメーター





コンチネンタル・ディバイド・トレイルはメキシコとカナダを繋ぐユナイテッド・ステイツ・ナショナル・シーニック・トレイルで長さは5,000キロメーター。このコースはロッキー山脈に沿っており、モンタナ・アイダホ・ワイオミング・コロラド・ニューメキシコの5州をまたいでいる。トレイル専用道と小道が、コースの70%をカバーしている。また一部は荒れた道と舗装道路を行かなければならない。(WikiPedia Englishより抜粋)



アメリカン・ロンゲスト・トレイル

グレート・ウエスタン・ループ     11,060キロメーター




とても長いこのコースの話は、この野獣を完遂した有名な冒険家、アンドリュー・スクルカのウェブページで見られる。この愛すべき男は、このコースを一日平均53キロメーター、208日ぶっ通しで歩き、グレート・ウエスタン・ループを征服した。



アメリカン・ディスカバリー・トレイル 10,940キロメーター





海岸から海岸まで伸びるこのアメリカン・ディスカバリー・トレイルは10,940キロメーターと記録されているが、もしかしたらそれはミスリードかもしれない。このコースはオハイオとコロラドに分かれていて、北と南のルートを選択することができる。南のルートは8138キロメーター、北のルートは7780 キロメーターである。このルートは時々、市街地の道を兼ねていたり、市街地に沿ったりしているので、完璧な孤高の道を求めているトレッカーには不向きかもしれない。



イースタン・コンチネンタル・トレイル 8,690キロメーター



イースタン・コンチネンタル・トレイルは複合的なシステムでそれはグレート・ウエスタン・ループに似ている。このコースはフロリダ、キーウエストからアパラチアン・トレイルに伸びて接続していて、北部はカナダ領になっており、ベレ島が終点となる。ウィキペディアによるとこのルートの高低差は2,025メーターで、起伏はあまりない。しかし常夏のビーチから山岳地帯を通り、北の島に行くことになるので、日々寒くなっていくだろう。まったくもってバラエティーに富んだ気候がこのルートにはある。



ノース・カントリー・ナショナル・シーニック・トレイル 7,403キロメーター



このコースはニューヨークからノース・ダコタまでの5州をまたいでいる。それはアメリカ北部の州に横たわっているので、悪天候を避けながら、安全に行かなければならない。



グレート・ウエスタン・トレイル  7,170キロメーター





このコースはアリゾナ、ユタ、アイダホ、ワイオミング、モンタナを通っている。あなたは砂漠から山あいの湖まですべてを経験することができる。このグレート・ウエスタン・トレイルの16種類デザインされているコースの中の一つの、白馬にまたがりながら行くナショナル・ミレニアム・トレイルは特に人気がある。



コンチネンタル・ディバイド・ナショナル・シーニック・トレイル 4,989キロメーター




ニューメキシコから始まって、コロラド、ワイオミング、モンタナを通るルートだ。アメリカの三大トレイルの一つに数えられている。三大トレイル完遂は、三冠制覇の栄誉な意味を持っている。コンチネンタル・ディバイド・ナショナル・シーニック・トレイルは、偉大なるコロラドを抜けながらの、その山々はとても高く、行く手には厳し道が立ち塞がってはいるが、その様はまるでジョン・ロナルド・ロウエル・トールキンの著書『The History of Middle-earth』シリーズ(実際にまとめたのは息子のクリストファ)のようでもある。



パシフィック・クレスト・ナショナル・シーニック・トレイル  4,245キロメーター





このパシフィック・クレスト・ナショナル・シーニック・トレイルはメキシコから始まって、カナダで終点を迎える。アパラチアン・トレイルと同様にとても人気があるルートだ。



アパラチアン・ナショナル・シーニック・トレイル 3499キロメーター





アパラチアン・ナショナル・シーニック・トレイルは伝統あるロングトレイルのコースで、有名なトレイルの3つのうちの1つであり、公式ではないが、三冠トレイル(パシフィック・クレスト・トレイル、コンチネンタル・ディバイド)に入る。パシフィック・クレスト・トレイルよりも野趣味には少し欠けるが、街での食事や休憩ができ、あなたを時々ほっとさせるかもしれない。”あなた自身を探求するハイク”ともアパラチアン・ナショナル・シーニック・トレイルにて言われていることは、有名な話である。




バッカイ・トレイル 2,324キロメーター





あなたはきっとバッカイ・トレイルなんて耳にしたこともないだろう。あなたがオハイオ出身でなければ、たぶん知らないはずだ。バッカイ・トレイルの歴史はとても興味深い。それは1959年にたった32キロメーターという距離から始まっており、1980年までの21年間という短い期間で、なんとついにその長さは2,324キロメーターにまで達したのだ。




フロリダ・ナショナル・シーニック・トレイル 2,253キロメーター





北フロリダから細く伸びている半島内を行くコースで、あなたはフロリダの太陽をこれでもかと体験できること請け合いだ。




アイス・エイジ・ナショナル・シーニック・トレイル 1,931キロメーター







アイス・エイジ・トレイルは、西のインターステイト・パークから東のポタワトミステイト・パークまでのウィスコンシン州内ををジグザグに行く。




カリフォルニア・コースタル・トレイル 1,931キロメーター





公式的には、このトレイル・コースは、完全には出来上がっていない。しかし、それはオレゴンからメキシコのボーダーエリアの話だ。これが完成した暁には、浜辺を歩く人たちから騎手(馬乗り)までのバラエティに富んだ人たちが見られることだろう。





パシフィック・ノースウエスト・ナショナル・シーニック・トレイル 1,931キロメーター




このコースはワシントンのペンシルベニアから、アイダホの細くなっているエリアを通って、グレイシャー・ナショナル・パークに入っていく。1,900キロメーターを超えるこの美しきトレイルは、3つのナショナル・パークと7つのフォレスト・パークを行く。あなたはモンタナとワシントンのどちらから出発したい?



アイディタロッド・トレイル 1,650キロメーター





この道はアラスカのすべてが詰まっている、荒野が続き、野趣味溢れる場所だ。アイディタロッド・トレイルはアラスカのアンカレッジから、アラスカのノームまで続いている古き道でもある。




マウンテンズ・トゥ・シー・トレイル 1,609キロメーター





マウンテンズ・トゥ・シー・トレイルは、北カリフォルニアを満喫できるグレート・スモーキー・マウンテンからアウター・バンクに続くコースだ。地元FM局によると2012年の10月には、過去最大のハイカーが訪れたということだ。



まだまだあるアメリカのロングトレイル

アリゾナ・ナショナル・シーニック・トレイル 1299キロメーター






アリゾナ・トレイルは、フラッグスタッフの近くにある小さなループを描いて、州の中程に走っているコースだ。メキシコとの国境沿いからユタとの州境までそれは続いている。




ポトマック・ナショナル・シーニック・トレイル 1127キロメーター





このトレイル・コースは、ピッツバーグ、ペンシルベニアからワシントンDC、メリーランド、バージニアへと続いている。




ナチェズ・トレイス・ナショナル・シーニック・トレイル 724キロメーター 






これは一つだけのトレイル・コースではない。テネシー、アラバマ、ミシシッピを通るいくつものコースを合わせたものだ。



ニューイングランド・ナショナル・シーニック・トレイル 354キロメーター





コネチカットとマサチューセッツを通る北東部のコースだ。




アラ・カハカイ・ナショナル・ヒストリック・トレイル 281キロメーター





アラ・カハカイはハワイ島の2/3の大きさのサークル・コースを作っていて、途中の道のいくつかは繋がってない。




ワンダーランド・トレイル 149キロメーター





ワシントン州にあるマウント・レーニアを周るとても有名なコースを持つトレイルだ。




ティンバーライン・トレイル 65キロメーター





オレゴンのフッド山を周るコースだ。




世界の10大トレイル 
(アメリカを除く)


トランス・カナダ・トレイル        24,000キロメーター





全て完遂すれば24,000キロメーターという、とてつもなく長い距離になるトランス・カナダは、沿海部を出発し、反対側の沿岸もしくは北極海に出るまでの、トレイルそのものを楽しむためのコースだ。




グランド・イタリアン・トレイル      5,954キロメーター






サンティアゴ・イタリアもしくはグランド・イタリアン・トレイルは、ブーツの形で有名なイタリア全土をカバーしているコースだ。




北海道自然歩道              4,585キロメーター





北海道全体を巡るように作られたこのコースは、海が眺める温泉や火山へ私たちを導いてくれる。




東北自然歩道               4,374キロメーター





東北自然歩道は、本州の北部に横たわっている。そのコースは起伏に富んでおり、大きなループを描くように幾つも並んでいて、そこからたくさんの分岐道が伸びている。




中部北陸自然歩道             4,029キロメーター





中部北陸自然歩道は、日本の中心に位置しており、そこから西側と東京の北西部に続いている。山岳地帯と海を望める沿岸部を楽しんでいこうか。




近畿自然歩道               3,291キロメーター





中部北陸自然歩道の南部は、大阪と京都を巡っている近畿自然歩道に繋がっている。そしてこのトレイル・コースは南北の沿岸部に接続している。




テ・アラロア・トレイル(ニュージーランド)  3,054キロメーター





クロス・カントリー・トレックは、島の北側の先端部から南側の先端部までを気持ちよく貫いている。




九州自然歩道               2,587キロメーター





九州の沿岸部と山々を望むこのコースのトレイルの終端はどこにも繋がっていない。しかし、ほとんどのコースは枝端のコースを絡めながら周回している。




サンティアゴ・デ・コンポステーラ
 (フランス、スペインのサンティアゴの道) 2,526キロメーター




このトレイルの始まりは、3つの異なる場所からである。しかしすべては、スペイン北部のサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂に繋がっている。それは単にトレックを楽しむということだけではなく、伝統的巡礼を行うという崇高な意味合いがある。歴史をより深く味わいたいならば、あなたはこの地でスペインをもっと深く感じることができる。




サルタンス・トレール
 (オーストリア, スロベキア, ハンガリー, クロアチア, 
 セルビア, ルーマニア, ブルガリア, ギリシャ, トルコ) 2,253 キロメーター





あなたが9つの国を駆け抜けるとき、様々な文化と触れ合うことができる。そしてこのトレイルはウィーンのヴィエナとトルコのイスタンブールに接続している。




まだまだある世界のロングトレイル

中国自然歩道 2,211キロメーター





このトレイルは広島を含むのどかな地域を巡っている。




グレート・ヒマラヤン・トレイル – High Route (ネパール) 1,700キロメーター





この高所のトレイルは、山岳地のルートのほとんどをカバーしており、全行程は156日ほどかかる。標高は6000メーター越えのところもあり、ここは厳しい登山などのトレーニングの場所としても使われる。




ヴィア・フランチゲーナ(イギリス・フランス・イタリア) 1,700キロメーター



サンティアゴへの道のようなルートで、ここもまたフランスやイギリスのカンタベリーからローマへと続く古い巡礼の道となっている。




グレート・ヒマラヤン・トレイル – Low Route (ネパール) 1,500キロメーター




標高の低いこのルートは、大体90日ほどで全行程を歩くことができる。高い標高でも4000メートルをちょっと越えるだけということで、高所をトレイルするよりもリスクは少ない。しかし、他のネパールのコースと同様に、ここもまた息をのむような素晴らしい景色が目の前に広がる。



トランス・パナマ・トレイル(パナマ) 1,126キロメーター





国境から国境へと続いているこのトランス・パナマ・トレイルは火山や密林へあなたを誘ってくれる。




サウスウエスト・コースト・パス・ナショナル・トレイル(イギリス) 1,013キロメーター





このトレイルは最も長いイギリスのナショナル・トレイルのコースだ。そして、沿岸部の荒野を愛する人々にとっては、完璧なトレイルコースでもある。




ビバルマン・トラック(オーストラリア) 999キロメーター





森を抜けるカラマンダからアルバニーまで続くこのビバルマン・トラックのコースは、南部沿岸に沿って険しい断崖が連なっている。




イスラエル・ナショナル・トレイル 997キロメーター





このトレイルは、イスラエル国内を縦断するというちょっと類を見ないコースとなっている。




バエクドゥ・ダエガン・トレイル(韓国) 756キロメーター 





コースは朝鮮半島のほとんどをカバーしていて、そこには北朝鮮も入っているのだが、明らかにアクセスは不可能だ。あなたはまず非武装地帯の近くからスタートできる。ほとんどの道は 雪岳山を行く時のように美しく、智異山國立公園の天王峯が終着となる。



コム・エミネ(ブルガリア) 700キロメーター





ブルガリアのコム・エミネ横断は、スタラ・プラニア(バルカン山脈)の稜線をなぞっていく。そのいくつかの頂は2,000メーターを超える。




サー・サミュエル・アンド・レディ・フローレンス・ベイカー・トレイル
  (南スーダンからウガンダ)  579キロメーター





コースは1800年代後半にサミュエルとフローレンスが踏破した歴史的な道を行く。このトレイルはマウンテンバイカーとハイカーの両方に開かれている。しかし不幸なことに、いくつかの場所は四輪駆動車にも開かれるようになるみたいだ。このトレイル・コースは公式的には、2014年にオープンする。




リシアン・ウェイ(トルコ) 509キロメーター





リシアン・ウェイはトルコにいくつかある500キロトレイルの中の1つだ。




スノーマン・トレック(ブータン) 347キロメーター





人間によって考え出されたコースの中で、世界でも最もタフなコースだ。スノーマンは11もの高峰を行き、そのいくつかは、4800メートル以上もの山越えになる。




ツール・ド・モンブラン(フランス・イタリア・スイス) 167キロメーター





フランス、イタリア、スイスを通り、モンブランを周回するコースだ。


参考資料:アドベンチャーストロング


ちょっと調べただけで、ものすごい距離のトレイル・コースが出てくる。上位はどれも数ヶ月かけて歩くものばかりだ。トランス・カナダ・トレイルに至っては、制覇するには、人生すべてをかけてとか、世代をかけて歩かなければ難しいのではないかとも思えてくる。世界の10大トレイルに日本のコースが5つ入っているのには驚きだ。自然歩道は日本のどこに行っても見られるものだが、そのかなりの部分が使われていなかったりするので、とてももったいないとも感じる。もう少し整備して、世界にもっとインフォームすればかなりの良コースがあるので、トレッカーたちが結構来るのではないかとも思う。またパウロ・コエーリョの星の巡礼というとても良い本を読んで感銘を受けたので、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(サンティアゴの道)は、僕がいつか歩いてみたい道の一つだ。


さてラダックで整備されているトレイル・コースは、僕が知っているだけでも最長で一ヶ月ほど歩くことができるコースだ。西洋のトレイル・コースはほとんどが観光客用に整備されたものだが、ここラダックではそのほとんどが悠久よりラダッキたちが歩んできた生活山岳道だ。きっとトレイル・コースとしては使われていない生活道も無限にあるので、その総延長はとっくに世界の10大トレイルに食い込んでいるのかもしれない。





そんな事を考えている間に、チョグラムサルを抜け、レーから17キロほどのところにあるシェイ、ティクセの歴史的エリアも抜けて、対岸奥にマトの村を見つつ、岩山の上にそびえるスタクナ・ゴンパに別れを告げ、インダス川を渡って対岸に行くとへミスがあるところの手前のカルの村のマーケットで休憩に入る。さて長い旅路の前の腹ごしらえは気の置けないとても大切な仕事だ。朝はすでに光の中にあり、空はいつものように青く澄み、山はいつものようにシナモンの色の肌を日にさらしており、朝の日を浴びてきらきら光るインダス川はいつものようにラダックの腹に深く食い込むようにとうとうと流れていた。



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