2012年10月30日火曜日

8.トッピガラとタミル・イーラム解放の虎。

ウルパタラガマ村を出てトラックの荷台に揺られている。長い長い鉄道は、僕が行く道に寄り添うように並んでおり、たまに通り過ぎる車軸はその重たい体躯をのろのろと引きずるように進ませている。紺碧の空の下、灌木の森はどこまでもどこまでも広がりを見せ、時折視界が大きく開けたかと思うとそこには、空の色と変わらない水面光る湖が横たわっている。灼熱の太陽に震える鉄橋の下にとうとうと流れるスリランカ最大のマハウェリ川が見えてくる。川は水が豊富な地帯よりこの乾いた土地へ命を運んで来てくれる。この大地に流れる栄養豊かな水はここで生物をはぐくみ、植物をはぐくむ血液となる。マハヴェリ川を渡ったところで文化的な違いも現れてくる。マハヴェリ川より西側は仏教徒の村がばかりだったが、渡ったとたんにヒンドゥー寺院が目につくようになり、タミル語の看板が増え、ヒンドゥー教徒の村が多い土地に入っていったのが分かる。

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低木地帯の道を行き、寂しい荒涼とした場所にぽつんと小さな小さな駅が見えた。その駅の脇を側道が踏切を渡り、そこを小さな荷台に僕を乗せてトラックは進んでいく。目の前の寂しい場所にスリランカ軍の検問所が見えてくる。ここから先は軍の許可がないと入れない。その場所の名前はトッピガラ。さきの内戦ではスリランカ一の激烈な戦闘が繰り広げられた場所だ。検問所を通り過ぎるとより静かなる灌木地帯が続き、その中にひび割れた土壁の上にトタンの屋根をまとった貧しい家々が点在しているのが見えた。彼らは内戦で辛うじて生き残った村人で、トッピガラ内の村落は丸ごと破壊されてしまったので、国連UNHCRや世界中のNGO団体の寄付により建てられた家々だと言う事話を聞く。すでにこの地区の地雷除去も終わり、やっと村人は平静さを取り戻したかのように見える。今はインドを中心に世界からぞくぞくと難民がスリランカに帰って来ている。元LTTE(タミル・イーラム解放の虎)幹部の職業訓練もこの東部地区で行われているようだ。その一方でタミル人の難民への迫害の話も外国の新聞ルートで聞こえてくる。今年の6月にはスリランカからオーストラリアへ向けて航海中の200人程のスリランカ人を乗せた難民船が転覆している。戻ってくる難民もあり出て行く難民もある。内戦後のスリランカは平静を装いつつも、まだまだいろいろな問題が見え隠れしている。そんな事を考えながらトラックの荷台に揺られていると、目の前が突然開け青く美しい湖が飛び込んでくる。低木林を洗う風は湖上をも自身の手で優しく撫でつける。湖面にときおり立つさざなみは、その縁まで辿り着くと柔らかく砕ける。さざなみが止まると圧倒的な静けさが湖を包み込んだ。その沈黙の美は原始の声だ。時間はいつまでもいつまでも止まり続ける。湖の縁の灌木が揺れた刹那にその背後から一斉に水鳥が飛び立った。空の青いキャンパスには絵筆から跳ねたような無数の白い点が散る。

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工事責任者のニハル・ランジスが固い椅子に浅く座り、机に両足を放り出し、瓶の中の午後の日差しに反射する琥珀色の液体を啜っている。僕は今夜、彼の工事現場の宿舎に泊まる。施設の横には美しい湖があり、内戦中は堤防が爆破され湖の水が流れ出てしまったので、現在は大規模な堤防の修復作業をしている。堤防の修復作業だけではなく乾いた村々へ水を送るための灌漑工事も同時に行われる。
「二億ルピーの事業です」
ニハルは飲みかけの琥珀を陽にかざし、その半裸の厚い胸板の体躯をゆらしながらゆっくりと椅子から立ち上がると言った。
「行きますか」
今日が暮れ行く前の涼し気な時にこの広大なトッピガラエリアをジープで走るのだ。ニハルがジープに乗り込み、僕は助手席のシートに身を沈めると早速、灌木地の中を出発した。トッピガラエリアの中の道は整備されておらず、舗装地はないのだが、真っすぐな道が多く、凹凸は少ないので想像以上に走りやすい。ジープがときおり置いてある爆破で焼けた車両の山のそばを抜け、いくつもの灌木林を抜けると左手の夕暮れの霞の中に、浮遊する城のような台形の山が見えてくる。ニハルが正面を見据えハンドルを握りながら静かな声で言う。
「あのシーギリアのような大きな台地は、数年前までLTTEの訓練場だったところです。今ではスリランカ軍の訓練場になっています」
灌木の中の台地はあの有名な暴君の象徴としてのシーギリア・ロックに似ていて、今はLTTEの象徴の場所になっている。政府軍側から見ればテロリストで、タミル側から見れば勇敢な戦士だ。その証拠にタミルの村に入るといたるところにチェゲバラのポスターが張られており、それを村人はLTTEに重ねて長い夢を見ていたのだ。サバンナの灌木林の中の長い道を砂埃を巻き上げながらジープは進む。砂埃の中、右手の高台に鉄条網で覆われた無骨な施設が見えてくる。
「あれはLTTEのメイン・キャンプがあった場所です。スリランカで最も大きな訓練場の一つでした。今はスリランカ軍が使っています」
軍の施設の脇をジープは通り過ぎると、赤い黄昏が地平線を燃やし始め、灌木林の影は次第に色を濃くし、空は琥珀色に焼け始める。宿舎近くの湖もまた、闇に包まれるまでのひと時は静かに美しく赤く染め上がる。しばらくするとトッピガラの闇は足音さえないままにそっと地上に降りてくる。形あるものはすべて闇の触手に侵されていき、その深い漆黒はあらゆる物と気配を消し去る。

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そして夜が来た。

静かな闇にくるまれながら、ときおりサバンナの中で哭く獣たちが、黄色い月に向って吠える時、
宿舎の中では夕食が黙々と土釜の上で作られていく。地の果てでの隠遁生活者たちは、シンプルだが力強い料理を作り上げていく。そしてテーブルの上の砂を払いのけると、そこに料理が並べられていく。スリランカのカレーの中に焼けた肉の匂いがする。僕はそれを一つ摘み上げ口に放り込むと、ニハルがにやりと笑いながら言う。
「鹿の肉です」
僕が言う。
「これは薫製ですね。肉はなんであれ久しぶりのタンパク源は大歓迎です」
僕が固いそれらを咀嚼して飲み込むと、ニハルはテーブルの向こう側で琥珀色の液体が入った瓶を床に転がし、小さな寝息をたて始めた。

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2012年10月29日月曜日

7.ウルパタラガマ村。

クルネーガラより北へ向って、おんぼろバスに揺られている。バスの中は満員で足の踏み場もないほどだ。クルネーガラを出発したばかりのバスの中はワデー売り、とうもろこし売り、お菓子売り、新聞売りなどの売り子が乗っては出て行き、出ては乗るのくりかえしで、スリランカの朝の街の喧騒を形作っている。そんなバスに乗っているといつも平和だなと思う。ある国ではバスの窓枠に手榴弾よけの柵が作られていたり、ある国ではボディチェックをしなければ乗れないバスがあったりするのを思い出す。バスはコールタールがきつく匂う新しいアスファルトの上を走っていく。それでも街の喧騒は一端郊外へ出ると自然が造り出す色と音に代わり、朝のジャングルの日差しは眩しいけれどとても柔らかく、そして人々はこんな眠た気なまどろみの中で左右に揺られている。疾走するバスが走る街道沿いの青く茂る森の木々には様々なフルーツがたわわに実り、ときおりそれらは風に揺れている。また今まで見た事もない色鮮やかな鳥がバスと並走しているのを見ると心楽しくなる。しかし2時間も走るとそんなジャングルの様相もしだいに変わり始め、木々の間は次第に広がり、茶色の中に点在する緑に変わってくる。乾いた土地では視界が一気に開け、より大地の広がりを感じる事が出来る。たいらでまるい地球の表面から時々頭をもたげている低い山々。右から左へ弧を描いて走る緑の地平線。そしてそこから空が始まり、見上げるとペンキを頭上にぶちまけたような青い青い紺碧がどこまでもどこまでも羽根を広げている。

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クルネーガラより三時間、何もない小さな小さなバスの停留所で降り、側道を低木が茂るジャングルの中へ入っていく。10分ほど歩くと本日宿泊する家がある。この家のある集落はウルパタラガマという名の村で、スリランカでも非常に貧しい村の一つだ。家はレンガが積み上げられて作られており、間口は日本の下町にあったような長屋のごとく狭く、間口から一歩入ると土ぼこり舞う土間があり、そこに蚊帳のない木のベッドが一つ置かれている。土間と居間は直接つながっており、玄関らしいところはあるのだが、いくら観察しても扉はついていない。家の窓は枠だけでガラスやしきり物はなく、熱を抱いている緩やかな風が時々入り込むだけだ。しかし庭は土地の境界がどこなのか判別できないほどゆったりと広くとられている。そこにはテーブルと椅子たちが灌木の木陰に並んでいて、ブレイク・タイムの主人を待ち構えているようだ。赤い太陽がジャングルの果てに沈むとき、午後のうだるようなけだるい熱気がうそのように、涼しい空気が夕暮れを浸食し始めていた。枯れた草の間からは虫が静かに鳴く声が聞こえて来て、遠くには白い点にみえるさぎたちがその日最後の陽を浴びながら遠くに飛び立っていく。黄昏が姿を消しジャングルに夜が沁みてくると、あたりは静寂で神聖で独特な空間に包まれる。北部の乾燥地帯にもところどころにやっと秋のような顔が見え隠れするようになった。聞く話によると、今は平静で平和な時を迎えていて、この村では闇が怖くなくなってから数年経つが、この近くにはLTTE(タミル・イーラム解放の虎)の村々があり、5年ほど前まではこの村も時折襲撃を受けていたという事で、平和が訪れた事を知らない夜の闇は、いまだ何かにおびえているようだった。

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夕食の時間がやって来た。テーブルの上には白いご飯が光っていて、その周りには色とりどりのおかずが並ぶ。皿にご飯をよそい、その上に適量ずつおかずを乗せていく。この皿の上に広がる花を食していくのだが、その方法は慣れない者には難しく、慣れている者でもさらりと優雅にこなすのは難しい。ご飯とおかずを少しずつ右手の指先で混ぜ合わせると、それを皿に少し押さえつけ握り寿司を片手で握った状態にし、手のひらをくるっと天に向けて、人差し指と中指の付け根のあたりに混ぜ合わせた飯を乗せる。そのあとその手をさりげなく口元に持っていき、時に大きく時に小さく口を開け、飯たちを親指の背でそっと押しながら口の中に滑り込ませるのだ。口に運んでは一握り摘み、一握り摘んでは口に運んでいく。そうしているうちに皿の料理はきれいになくなり、右手をボールの中の水で洗い清めると次には紅茶と茶菓子が出てくる。でてきた茶菓子がまた逸品で、タルと呼ばれて黄色いふわりとした容貌の茶菓子だ。タルはスリランカ北部でよく見られるフルーツで、ここではココナッツが少なくなり代わりにタルが登場するのだ。これはタルという名の果物の中身を取り出し粉状にして、米粉とココナッツ粉を混ぜ合わせる。そしてマンゴー大のおにぎりの形をいくつも作り、それらを蒸気で蒸していくのだ。一口かじりついてみる。微かな甘みと口当たりを伴っているのはタルの旨味の特徴で、僕にとっては大変懐かしい味がした。これはまさに芋が入っていない鬼まんじゅうといった味で、この鬼まんじゅうは僕の実家ではよく食されている。そういくつもいくつも食べたくなるソウルフルな味なのだ。紅茶はハクルと呼ばれる黒砂糖のようなものと合わせて出てくる。このハクルはココヤシの蜜を集めて煮立てた後に固めたもので大きいと簡単に割る事が出来ないが小さいものは歯で簡単に崩すことができる。味は黒砂糖が固い味だとするとこのハクルは優しい柔らかい味だ。紅茶は砂糖を入れないで、このハクルより甘みを感じ取って飲んでいくのだ。これを一口噛み、紅茶をすする。紅茶をすすっては一口噛むという様に茶の席を進めていく。ハクルは砂糖代わりになり(砂糖以上の旨さなのだが)、お茶請けとして途中タルを食していく。シンプルの中にこそ贅沢がある。僕にとっての贅沢というものは、このジャングルの静寂の中で、すする一杯の紅茶はその一つにあたる。僕はその夜、灌木の林の中の小さな小さな家の木製のベッドに横になると、あっという間に眠りに落ちた。太古の夜のジャングルはさながらゆりかごにもなるようだ。

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2012年10月28日日曜日

6.岩山にある小さなお寺。

トゥクトゥクの運転手の家での昼食に招待された。ケッタラーマ寺から一度クルネーガラの街に出て、街の外れにある家に向うのだがわりと遠い。クルネーガラの街を抜けると、放射状に街より出て行く道の中の一本を郊外に向けて走り出す。数分も走るとクルネーガラ郊外はすぐにジャングルに包まれる。その森はどこまでも深くて広く、そして濃い緑の大地は地平線をとび越えて海まで泳いでいる。時折ジャングルの森の木々の間より、遠くに大きな大きな岩山が見え、お寺が岩の影に建っているらしいのだが、トゥクトゥクからはなかなか垣間みるのは難しい。道に斜めに鉄道が横切っている。踏切近くの鉄道駅には人がぱらぱらと到着の遅れた汽車を待っているが、それはいら立っているというよりも毎日顔を洗うような当たり前の出来事なので、どこかの国のように駅員に詰め寄る人は居らず、のんびりとした南国の空気だけがココヤシに囲まれた駅の中に漂っていた。鉄道を通り過ぎるとジャングルはなだらかな丘陵に沿って茂っており、道沿いには小さな小さな商店が並ぶも、人より自然の気配のほうが濃い。幹線道路からジャングルの中へ続く小径に入っていく。ココヤシやバナナの木が立ち並び、風で揺れるたびに葉っぱの隙間から太陽の光が大地に差し込んでくる。

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ココヤシの林の中にトゥクトゥクの運転手の家はあった。家の軒先に滑り込んだトゥクトゥクからは、大きな体躯を揺らしながら運転手が降り、玄関先で出迎えた大柄な母親と、満面の笑みで抱擁をする。そして家の中からは5、6人の家族が出て来て次々と運転手と抱擁を交わし、僕もその家族たちに挨拶をすると、さっそく居間に通された。居間は広く、藤の家具たちがのびのびとその南国の部屋に溶け込んでおり、壁には色鮮やかな抽象画が揺れていた。部屋の窓からはクリケット遊びを途中で放り投げた少年たちが、目をキラキラさせて、窓枠に沿ってコの字を描きながら縦に横にと顔を覗かせて、外国人である僕を興味深気に観察していた。僕の足がときおり何かにあたるのを運転手が気づき、にこにこしながら足下に転がっている胴長の両面太鼓を拾い上げると、それを膝の上にのせたたき始める。
「つっ・たたた・たっつ・たたーん・たたつっ・たっつ・たたたた・つたたたーん」
「つっ・たたた・たっつ・たたーん・たたつっ・たっつ・たたたた・つたたたーん」
優しい中にもときどき力強く鳴く太鼓は、5本の指と掌とその腹をぴんと張った皮の上で踊らせると、そこから濃霧のように広がる変則的なリズムが空間を震わせ、僕の心をも震わせた。
運転手はおもむろに太鼓を僕に渡すと何かを言った。
「たたいてみ」
きっとそんな意味だと思う。静寂に包まれた室内で、僕は咳払いを一つすると、背筋に緊張が走るのを感じた。
「つったん・つたたん」「つったん・つたたん」「つったん・つたたん」
単調でのらりくらりと足をひきずるようなリズムが室内を這いずり回る。そのリズムが一分間という短い時間を四苦八苦しながら埋めると僕は手を止めた。運転手はにっこり破顔すると僕の肩を大きく二回たたいた。言葉は分からないが良くやったとその大きな掌は語っていた。

その後、溶き卵を焼いた皮で甘いものを包んだスイーツと紅茶が出て来た。そのお菓子はもちろん日本では味わう事ができない不思議な味で、あまーいじゃじゃ馬が口の中で暴れ回っているそんな感じだ。紅茶でそのじゃじゃ馬を鎮め鎮めしながら、その黄色いスイーツを平らげる。そしてしばらくするとテーブルの上に次々と料理が運ばれてくる。色彩豊かなその料理たちは長い長いテーブルの上に並べられて、バイキングの様相を濃くしている。実際のところスリランカの食事はテーブルの上に並べられた料理を好きな分だけとっていくという食べ方が多く、その中にはフルーツやスイーツもあり、毎日がビュッフェで頂くバイキングのようである。大皿にお米と様々なおかずを盛ってゆくとカレーと言う名のどんぶりが出来上がる。それらをさっそく平らげると、僕と運転手は家を後にした。

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ここからトゥクトゥクで20分ほどのところに小さなお寺があるという。ジャングルの中のプロムナードを進んでいくと、森の中の遠方に岩山浮かび上がっているのが見えて来た。ジャングルの中に突如として現れる岩山は、スリランカではよくある光景で、鳥の目で見るとさながら濃緑の中の無数に点在する小さなエアーズ・ロックのように見えるだろう。トゥクトゥクは岩山の腹を縫うように続く道を上って行くが、傾斜がきつくなるとそこで止まり、僕たちは徒歩で上って行く。目の前に岩山の頂上が広がると、そこには午後の怪しい曇った空の下に根を生やしたように小さな小さなお寺が建っていた。ここのお寺の僧侶に、本堂より離れたところに建っている宿舎に案内されて、椅子に座りお寺の話を少し聞く。しばらくすると、大皿に盛られた橙色が眩しいパパイヤが出て来た。この大きなパパイヤ一個分を僕は端から順番に平らげていく。この種の果物の一個分は日本産のスイカほどの大きさがあり、いつも皿の半分もいかないうちにお腹が一杯になるのだが、そんなこんなで実践しているのは食べる時にいろんな話をしながらとにかくゆっくりゆっくり食べる事、そうすればいつか皿の上の物は無くなっている。そして大切なのはかかさず運動をする事だ。食べるだけならますます体は大きくなってしまう。動ける時はとにかく体を動かす。留まるは山のごとしというのは体に毒なのだ。その後、僕たちは僧侶に案内されて岩に表面にしがみつくように建っている本堂に向った。本堂は岩の表面を洗うような風が吹けば、飛ばされてしまいそうなほど小さく、大きな鍵で扉を開けると、そこには釈迦像が優しく鎮座していた。元祖微笑みの国はお釈迦様も微笑んでいる。そして村の人たちは毎日毎日この小さなお堂に足を向け、家族の幸せや平静な世を願うのだ。スリランカの人々の深し笑みの源は、いろいろなところに転がっていて、仏陀の微笑みもそのうちの一つだ。世界の良心がスリランカに凝縮しているような錯覚に陥るのは、人々が厳しい時代を歩んで来た後、やっと見つけた平和な時代を心から祝福している島人の内に潜む穏やかな気持ちが開花しているからだと思う。それはクリスチャンもムスリムもみな同じ思いでいるような気がする。

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