Saturday 27 February 2010

27.チクタン村再び

 僕たちはギャル村を後にして、ナミカ・ラの峠を越える。そんなに厳しい峠ではないけれど、標高は3700メートル以上あって峠頂付近はかなり寒い。なんとか峠を越える。カングラル・チェックポストが見えてきた。詰め所は簡易テントで設営されているだけだった。僕らはテントに入って行き、軍人にパーミットのコピーを渡す。チェックポストもパーミットを持っていると簡単に通過できる。この前サンジャクのチェックポストを通過した時とは大違いだ。なによりも、何も考えなくてもいい、なにも心配しなくてもいい、というだけで心身は快適だった。目の前に二股の道がある。まっすぐ行くとレー方面へ、クローズドバーを左に入って行くとチクタン村に出る。僕らは左方向に舵をとり、チクタン村に急ぐ。なぜ急いでいるかというと日がすっかり沈んでしまったからだ。サンジェルンマの渓流に沿って車を走らせ、数多くの村々を通過して、チクタン城も通り過ぎる。そしてしばらく真っすぐ進み、橋が見えてきたのでそこを左折する。やっとチクタン村に到着した。車を村の入り口に止めて、チクタン川に沿って歩いて行く。僕たちはラジーの家に向かっている。

Chiktan village

夜のラジーの家。
ぽつんとライトが点いている。
そのほの暗い明かりは、
この世界を照らすのにはちょうど良い光だ。
そしてラジーの家に着いた時は
周りはすっかり暗くなっていた。


 ラジーの家族の歓迎を受け、僕らはリビングに通された。

Chiktan village

キッチン。
昔ながらのキッチン。
薄暗い光に中、
さっそく夕食の準備に取りかかる。


 外でチクタンブレッドを作る。炭の中にパンを入れて30分ほどで出来上がる。炭をどかすと中からおいしそうなパンが出てきた。僕たちは、ぐるぐる茶とチクタンブレッドを食す。

Chiktan village

チクタンブレッド。
炭をかき分けて、
顔を出す。
焼き芋のようなチクタンブレッド。
炭の中から取り出す。
焼き芋のような甘い、
いいにおいが立ちこめる。


 キッチンの方ではバトゥーを料理している。鍋を煮込んで行く。みんなで手分けしながら作るのだ。そうしているうちにバトゥーもできあがる。

Chiktan village

ベジタリアン・バトゥー。
正式名称、ゴビ・スパグ。
味はピリ辛で、とてもおいしい。
バトゥーにもいろんな種類がある。
野菜、マトン、チキン、その他いろいろ。
その組み合わせは数百にのぼるという。
味も全て違うのだ。


 みんなで夕食を食べる。最初は男性から食べ始める。そして食事も半分ほど進んだ頃に女性たちを呼びに行くのだ。これも細かい戒律らしい。男性が最初に食事、それから女性が食べ始めるのだ。現在のメンバーは僕とジミー、ラジーのお父さん、お母さん、ラジーの友人そしてラジーだ。みんなで楽しく食べ始める。

Chiktan village

夕食の様子。
テレビとかラジオとかそんなものはないけれど、
食事を重ねる度に家族との絆は深まって行く。
日常の当たり前の光景なのだ。


 僕らは食事を終えると寝室に案内された。ラジーが使っている部屋を貸してくれるという。大きさは八畳ほどの広さで、大人二人が十分眠れる広さだった。部屋の壁にはたくさんの旅行写真やムスリムの指導者の絵が貼ってあり、その下にはメッカの写真があった。僕らはブランケットに潜り込むと一気に深い眠りに落ちた。グッドナイト。

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