Sunday 21 February 2010

21.遠ざかるパーミット

 僕たちは喪失感をかかえて、カルギルメインストリート裏に広がるヨーク・チョス・ダス地区を歩いていた。

Kargil town

カルギルのヨーク・チョス・ダス地区。
山の斜面に古い家が広がる。


 僕は道ばたの石を蹴りながら言う。
「やっぱり、だめだったなぁ。」
 サダが家の軒下に生えている草を引きちぎりながら言う。
「そういえばチクタンエリアは、宿泊している観光客を見た事ないもんな。宿泊施設なんかないし。やっぱり宿泊のパーミットはとれないんじゃないかなぁ。」
 ジミーが手に持った小枝を振って言う。
「またパーミットなしでチクタンエリアに入って、夕方になったらサンジャク村チェックポストまで戻って、そこで泊まって、次の朝またチクタンエリアに向かう事を繰り返せばいいんじゃない?」
 僕はまた小石を蹴り、
「それは疲れるなぁ」
 と言うと、サダが
「あっ、前例がないって言ってたよな。書類の作り方がわからないんじゃないか?僕らでサンプル作って”こんな感じでお願いします”とかダメかなぁ。」
 ジミーが
「おっ、それいいね。やろう、やろう。」
 と言う。僕はそんなにいい方法だとは思わなかったが、これもお国柄の違いと考えて同調する事にした。

Kargil town

カルギルのヨーク・チョス・ダス地区。
メインマーケットの真裏に広がるダイナミックな景色。
カルギルと言えばこの風景。
山を越えるスリナガルロードが見える。


 僕らは座り込み、ああでもないこうでもないと一枚の紙をかこんで論争した。
「この文言入れた方がよくない?」
 とか
「これはくどいな。」
 とか
「これ、ぽくない。」
 とか
「これ、本当に持ってくの?」
 僕は心配になって尋ねると、二人は僕の方を見て、おおきくうなずいた。とにかくなんとか僕たちはサンプルのパーミット書類を作り上げた。

Kargil town

手作りのサンプルパーミット書類。
本当にこんなんでいいのだろうか?


 僕らはこれを明日にもう一度ディストリクト・オフィスに持っていく事にした。一仕事終わったのでカルギルのヨーク・チョス・ダス地区をゆっくり歩き出す。

Kargil town

古い家の向こうに雪をかぶっている山が見える。

Kargil town

カルギルのヨーク・チョス・ダス地区。
マーケット裏の閑静な村々。


Kargil town

スルリバーの向こうにも
カルギルエリアの小さな村が見える。


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