Wednesday 10 February 2010

10.ハヌー村

 ハヌー村に入る。ジミーは車の中で一眠りするので、一人で散策たのむと言った。僕はハヌーの村内を通っている細い道をゆっくり登って行く。途中でおじいさんとおばあさんに会った。石垣を背にして休憩しているようだった。手招きされたので近づいて行く。日本から来た事を告げて、簡単な会話らしきものを交わすと、おじいさんから杏のドライフルーツを頂いた。

Hanu village

ハヌーの老夫婦。
アーリアンだってなんだっていいじゃん。
同じ人間だもの。
とりあえず、
ドライフルーツありがとうね。


 僕はドライフルーツを口に放り込むと再び歩き出した。しばらくして興味深いものを見つけたので写真を撮る。あとでジミーに写真をみせるとハヌーの人たちの住居もしくは、住居跡らしいとの事。自然の中に溶け込んでいて、野性味あふれる住居だった。戸を叩いてもだれもいなかった。不在なのか、もう使われていないのか。

Hanu village

ハヌーの住居もしくは住居跡らしきもの。
岩の間に石を積み上げる。
木で枠を作り、簡単な木製の扉をはめ込む。
天井枯れ木やら枯れ草やら作ったり覆ったり。
遠い昔、どこかで見た事がある家。
思い出せないもどかしさ。


 しばらく歩く。また面白いものをみつけた。岩上の家だ。ラダックでは岩上の家とか岩にはめ込まれたゴンパとかよく見かけるけど、どうやって固定したり作ったりしてるんだろう。不思議だ。ここは緑がきれいだし。空気はあんまり味わかんないけど、たぶんうまい。そして静かだし。人もあんまりいないなーなんて思ってる。

Hanu village

岩上の家。
岩の上に階段つくって家をつくる。
地面に作ればいいじゃんなんて思う人がいるかもしれない。
でも地面じゃきっとだめなのだ。
象徴としての家。
鼓舞している家。
そして長い年月をかけて
培った文化としての家。
きっといろんな意味があるのだろう。


 しばらく歩く。途中でおばあさんに出会った。岩の上に座っている彼女はそれだけでも絵になる。そして簡単な会話の一方通行が始まる。日本から来ました。わかったのか、わからないのか、彼女の答えは、ほうそうかい。今日はいい天気ですね。わかったのか、わからないのか、彼女の答えは、ほうそうかい。今からチクタン村に行きます。わかったのか、わからないのか、彼女の答えは、ほうそうかい。

Hanu village

ハヌー村のおばあさん。
右手には木の棒。
きれいな不思議な装飾品。
三つ編みにした髪にかわいい髪飾り。
獣の毛皮の服をふわりとひっかけて、
木漏れ日の中、岩の上に座っている。


 しばらく歩く。親子に会った。会話が始まった。娘さんは簡単な英語が話せるのだ。
「いつラダックにきたの?」
「一週間前。」
「どこからきたの?」
「日本から」
「一人でここに来たの?」
「友達が下で寝てる。」
 そして最後に
「ハヌー村を楽しんでってね。」

Hanu village

ハヌー村の親子。
本でハヌーの人々の写真をよく見る。
装飾品で着飾った、髪に大きな花をつけて、
踊ってる写真。
でも普段着の親子の姿に、
なぜかほっとしている僕がいる。


 しばらく歩く。老人に会う。僕はあいさつをした。「ジュレー。」でも一瞬僕は戸惑う。ハヌー村の挨拶はジュレーでいいのか?老人は何も言わず、変わりににっこり笑う。身振り手振りで「ギャプニン・ナクシャ・・・」と言ってカメラを取り出すと老人はレンズにぐっと寄ってくる。僕はシャッターを押し「ありがとう」と思わず日本語で言う。

 僕は下に戻ると、まだ車の中でジミーはいびきをかいて寝ていた。ジミーを起こして僕らはハヌー村を後にした。

Hanu village

ハヌー村の老人。
その年輪と貫禄。
そして鷲鼻。
僕は圧倒される。
その目は何かを語っていたが、
僕にはまだそれを感じ取れる力がないのだ。


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