Tuesday 23 February 2010

23.アラウンド・ザ・カルギル

 次の日、僕らはスピーカーから流れるアザーンの声で目を覚ました。ウォッシュルームで体を洗うとすぐに、ホテルをチェックアウトして、僕らは朝食を食べに行く。メインバザール近くの適当な店を探して入ることにした。僕らが決めたのは”スウィート・ショップ・アンド・レストラン”と看板がかかっている入り口を青緑色にペイントしてある小さな店だった。

Kargil morning

ブレークファスト・ショップ。
メインバザール近くにある小さな店がたくさん集まっている小路。
行き交う人が多く朝のあわただしいカルギルの日常。


 僕はミルクティーにカシミールパンを頼んだ。ジミーはぐるぐる茶とミルフィーユ仕立てのパンを頼む。それとお互いに目玉焼き。ジミーが目玉焼きの黄身をつぶして、出て来た中身にパンをつけて食べている。そして口を開く。
「食べ終わったら、昨日俺たちが作ったパーミットのサンプルを持ってディストリクト・オフィスに行こう。」
 僕はカシミールパンに少しかぶりつく。美味い。ちょっと意外だったのでもう一度、今度は大きくかぶりついた。咀嚼するとまたかぶりついた。ミルクティ-を飲みながら、またかぶりつく。そして僕も口を開いた。
「パーミット意地でもとりたいよ。なんとか役人を説得できないかなぁ。」
 ジミーがミルフィーユ仕立てのパンをもう一つ追加注文する。そして言った。
「やるだけやってみるしかないさ。俺は神を信じる。」
 僕も続いてカシミールパンを頼んだ。
「そうだな。もしパーミット取得に成功したら、僕も神に感謝するよ。」

Kargil morning

カシミールパン
ミルフィーユ仕立てのパン。
ミルクティー。
ぐるぐる茶。
目玉焼き。


 僕らは朝食を食べ終わるとディストリクト・オフィスに向かった。眼鏡を鼻の上にかけた役人は、僕らが渡したサンプルのパーミットを見ると一言。
「昼過ぎにもう一度来てくれ。これは預かっておく。今は忙しいんだ。」
 僕らは体よく追い返されたような気がした。オフィスの外に出てるとジミーが大きく伸びをして言った。
「昼過ぎにまた説得しよう。やるだけやるしかないさ。」
「だんだん心配になってきたよ。」
 そう僕が言うとジミーは
「大丈夫さ。心配ない。なんとかなるって。」
 そう言って僕を励ましてくれる。

 僕らはカルギルの周りの村々を散策する事にした。最初にカルギルのバックサイドにあるプエン村に行く。

Puen village

プエン村。
後ろの山々が美しい。


 それからカルギルの中心地から車で五分の隣の村バルー村に向かう。村内で道を尋ねながらバルー・マスジドに行く。緩やかな斜面の道を車で登っていくとそれは見えてきた。たいへん美しかった。山をバックに村を見下ろすその姿は繊細でいて、堂々としていた。

Baroo masjid

バルー・マスジド。
正式名、バルー・カンカ。
山と青空をバックにそびえ立つその姿は、
本当に美しかった。


Baroo masjid

石垣の入り口から望み見るバルー・カンカ。
時間と空間がゆっくりとおだやかに流れ作られている。
そして僕は何かに包まれている気がした。


 ジミーがバルー・カンカの中に入っていく。僕も後に続く。ジミーは礼拝堂の奥に入りお祈りを始める。僕は入り口近くに座ってその様子をぼんやり眺めていた。ジミーはシーア派だ。シーア派とスンニ派はお祈りの方法が違っている。スンニ派は体の前で手を重ねるが、シーア派は重ねないなど、細かいところでいろいろ違う。
 ジミーは”アラーフアクバル”と唱えながら両手を耳の後ろに持っていく。大きく腰を折ってお辞儀をして、また両手を耳の後ろに持っていく。そして両膝ひざまづき、両手を地面について、そのまま頭を下げてお辞儀をする。頭をあげて、それからもう一度お辞儀をする。立ち上がり、両手のひらを上に向ける。そしてお辞儀をする。両手を下げてまたひざまずいて、お辞儀をする。
 僕はその様子をぼんやり眺めている。

Baroo masjid

バルー・カンカの礼拝堂。
広くて、色彩豊かで、美しい。
ジミーがお祈りをしている。


 僕らはバルー・カンカの礼拝堂をでると外で子供が遊んでいた。

Baroo child


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