Tuesday 23 March 2010

48.雨のスリナガル

 朝、目を覚ますとまだ雨が降り続いていた。甲板に出て様子を見てみる。雲が厚く、遠くは靄がかかっている。ジミーの携帯に連絡が入る。カルギルに向かうゾジ・ラの峠は天候がひどく土砂崩れも起きていて、現在は閉じているらしい。天気が良かったらレーに向けて出発するつもりだったが、数日滞在する事にした。

Jhelum river in rain

早朝の雨のハウスボートからの眺め。

 僕とジミーは朝の礼拝に出かける事にした。僕たちが滞在しているハウスボートのちかくにマスジドがある。そのマスジドの名前はラルチョウク・マスジド。雑居ビルに挟まれているシーア派のマスジドだ。つい先日、このラルチョウク地区でインド軍の施設に手榴弾が投げ込まれ、銃撃戦に発展して死傷者が多数出ている。

Lal chowk masjid

ラルチョウク・マスジド。

 僕たちはラルチョウク・マスジドに入って行く。一階の突き当たりのスペースにウオッシュルームがある。ここで体を清めた後、礼拝(ナマース)をするのだ。清める事をウドゥーと言う。ウドゥーは、まず手のひらを洗う。口をすすぐ。顔を洗う。鼻の中を洗浄する。肘までの腕を洗う。頭を洗う。足を洗う。ウドゥーが終わった後きれいな体でナマースをするのだ。ビスミラ(神の御名において)これを三回繰り返す。これでナマースの準備が整う。
 僕たちは礼拝堂に入り、ナマースを始める。
「ビスミラ・ヒラクマニー・ラヒム。アルハンドゥ・レラ・ヒルラビル・アラミン。
ア・ラクマナ・ラヒム。マーリケ・ヨ・ミディン・・・」
 と唱えながら、両手を耳の後ろに持っていく。お辞儀をして、また両手を耳の後ろに持っていく。そしてひざまづき、両手を地面について、そのまま頭を下げてお辞儀をする。頭をあげて、それからもう一度お辞儀をする。立ち上がり、両手のひらを上に向ける。そしてお辞儀をする。両手を下げてまたひざまずいて、お辞儀をする。これを繰り返すのだ。

Lal chowk masjid

ラルチョウク・マスジドの礼拝堂。

 僕たちはナマースを終えてラルチョウク・マスジド出ると次のマスジドに向かう。ジャワハルナガル・マスジドに到着する。シーア派のマスジドだ。僕たちはジャワハルナガル・マスジドに入っていく。

masjid

ジャワハルナガル・マスジド。

 僕たちはジャワハルナガル・マスジドでラルチョウク・マスジドでしたようにウドゥー(体の清め)をした後、ナマース(礼拝)をする。

masjid

ジャワハルナガル・マスジドのウドゥーの場所。

 僕たちがナマースを終えると、カシミリアンの神教徒が入ってきた。僕は彼と話をする。彼はイギリスへの留学経験もあり、美しいクイーンズイングリッシュを話す。彼は僕にイスラム教の講義をする。言ってみれば分かりやすく僕にレクチャーしてくれたのだ。アラーの事。ムハンマドの事。世界の宗教とイスラム教の関係。イスラム世界から見た世界の構造上の問題。インドにおけるマイノリティのイスラム社会の事などいろいろ話されたのだが、そこに一つ問題があった。その問題というのは僕とジミーは大変な田舎者なので、クイーンズイングリッシュが理解できないのだ。彼が話すその抑揚がある流れるような美しい早口英語は、文字通り僕たちの耳を、右から左へざるのように流れていった。僕たちは彼に最上級のありがとうを言って、そそくさとまさにそそくさと、ジャワハルナガル・マスジドを出て行くと、お互い顔を見合わせ
「今の講話分かったか?」
「ぜんぜん。全く。」
 そう言うと僕たちは車に乗り込みハウスボートに戻るのだった。

masjid

ジャワハルナガル・マスジドの礼拝堂。

 ハウスボートに戻って朝食にする。

House boat

花とハウスボート。

breakfast

チャパティとカシミールパンを炙ってバターを塗って食べる。

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