Friday 19 March 2010

44.朝食の後に

 僕とジミーはハウスボートに向かっている。渋滞がひどくハウスボートになかなか近寄れないので、対岸に車を止める事にした。ジェラム川を渡ると左手にゼロ・ブリッジが見えてきた。ゼロ・ブリッジはスリナガルの有名な木造の古い橋だ。僕らは対岸の駐車場に車を止めると、土手を降りていき、渡し船に乗ってハウスボートのカリマ・パレスに向かった。渡し船の船頭さんは初老のカシミリアンだ。写真を撮ってくれと言うので、シャッターを切る。渡し船だけでなく、ジェラム川クルーズもやっているらしい。僕たちは対岸につくと小舟からおり土手を登っていく。カリマ・パレスに着くと、主人の孫の若者が手を広げて”ヘイメン、カシミールを楽しんでるかい?”と満面の笑みを浮かべて言う。僕たちは”楽しんでるよ”と返す。カシミーリは陽気なのだ。

Zero bridge

ゼロ・ブリッジ。
朝靄も徐々に引けてきて、
現れたその姿は雄々しくもあった。


Jhelum river and old man

初老の船頭。
あいさつのポーズでかっこよくきめる。


 クルスンたちは朝食の準備を終えて、僕らが帰ってくるのを待っていた。僕たちはみんなで甲板の上で食事をする。船の上での朝食は格別だった。景色が美しいし、風も心地いい。カシミールパンはすごくうまかった。カシミールパンを軽く炙って、バターやジャムを塗って食べるのだ。風味、食感、ほんのりとした甘み、病み付きになる味だ。僕はミルクティと共にそれを平らげたと、もう一枚おかわりをする。ジミーを隣に座って何枚も平らげている。こういうパンが日本にもあればいいのにと思う。

breakfast

カシミールパンとミルクティー。

 僕たちみんなは朝食を食べ終え、また車に向かう。こんどは船を使わず橋を渡って駐車場まで行く。
 カリマ・パレスの付近には小さい店が密集していて、そのうちの一つに手作りカシミール家具を作っている工房があった。家具の模様は丁寧に昔ながらのカシミリアン模様を彫刻刀で彫っていくのだ。その手さばきは実に見事だった。この店の前を通るたびに、朝から晩までカリカリと聞こえて来る音に興味をもっていたので、僕はその様子をじっと見る。
 僕たちは家具屋さんを後にしてジェラム川沿いの、名前も分からない小さな小さなマスジドの前を通り過ぎる。そのマスジドは朝のおつとめを終え、木陰でゆっくり休んでいるようだった。僕たちは駐車場にたどり着き、車に乗り込んだ。

Walnut craft man

ウォールナット職人。

masjid

ジェラム川沿いの
小さな小さなマスジド。


 スリナガル市内を車で散策する。僕たちはマスジドを巡る事にした。渋滞の喧噪の中、意外とノールールな交通状況にも次第と慣れてきた。東西南北適当に回る。行ったり来たり、通った憶えがある道も何度も通る。スリナガル市内の地図は誰も頭に入ってないので、本当に気の向くまま、適当に回るのだ。スリナガルのマスジドの数はすごく多い。各地区に最低一つはあるので、無数にあると言ってもいいくらいなのだ。シーア派だったり、スンニ派だったり、時々ムスリムとは関係のないヒンドゥー系のモスクがあったりする。人通りは多いのに外国人観光客の姿は皆無だった。

masjid

サラバル・マスジド。

masjid

チャタバル・マスジド。

masjid

H.M.T.マスジド。

masjid

サライ・マスジド。

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