Friday 12 March 2010

37.本当にさようならチクタン村

 僕とジミーは朝の散歩を終えてラジーの家に帰ってきた。僕たちがキッチンルームでくつろいでいると、隣の部屋から言い争う声が聞こえてきた。ラジーの兄のクシムが帰ってきたみたいだった。ラジーとクシムが言い争っている。部屋の扉が開いたかと思うと次の瞬間ラジーが出てきた。なんだか怒ったような顔をして、学校に行ってしまった。僕はジミーに聞いた。
「何があったんだろう?」
「クシムがラジーに”学校を休んでまでスリナガルに行く事は許されない”と言ったんだ。それで二人はけんかになったのさ。でもムスリムの世界は妹が兄の言う事に逆らう事はできないんだ。しかもクシムはかなりの堅物だから、何を言われても考えは変えない。」
「まじかよ。じゃ、だめじゃん。」
「そうだな、ラジーを連れて行くのは、あきらめるしかないみたいだ。」
 
 クシムがキッチンルームに入ってきた。僕はクシムに”アサラマレーコン”と挨拶をすると、彼は”レーコンアサラマ”と返してきた。なんとなく顔の作りはサダと似ていた。見たところそんなに堅物そうでは無かったが、口数はサダよりかなり少ない。クシムは僕に言う。
「今からいっしょにポリタンに行かないか?」
 ポリタンと言うのはチクタン村のすぐ近くにある小高い山でてっぺんがグランドキャニオンのように真っ平らなのだ。
「わかった。行こう。」
 僕は答える。散歩がてら僕らはポリタンに登る事となった。

Chiktan village

パブリック・スクール・ズガン。
サンジェルンマにかかる橋のたもとに建っている。


 僕とクシムは橋を渡り、パブリック・スクール・ズガンを右手に見ながら歩を進める。少し行くと左手にポリタンが見えて来る。でかいと思った。ポリタンにはぐるりと回り込むように頂上に行く道が作られているのだ。僕らはその小道を歩いて登っている。30分くらいで頂上に到着する。景色は絶景だった。チクタン城を見下ろすように僕はポリタンの頂上に立っている。後ろを向くとチクタンエリアが広大に広がっていた。

Chiktan village

見下ろしたチクタン城。
チクタン城を見下ろす事になるとは
思っても見なかった。
この不思議な景色にただただ圧倒。


Chiktan village

チクタンエリア。
周りの高い山々に
囲まれているチクタンエリア。
最後の光景を胸に刻む。


 僕たちはゆっくりポリタンを降りた。そしてチクタン村のラジーの家に戻る。そこでチクタン村最後のランチを食べた。

Chiktan village

トゥクパ&ポテト。

 ランチを食べ終えると、村の人に用事を頼まれた。プロパンガスを交換してほしいと。プロパンガスの貯蔵倉庫はクッカルツェ村にあるので、僕たちはチクタン村の空のボンベを集めてクッカルツェ村まで車で運ぶ事にした。車を進める。カルドン村を通過して、クッカルツェ村に向かう。

Kardon village

カルドン村からチクタン城を望む。

 クッカルツェ村に到着して空のプロパンガスをフルになったプロパンガスと交換する。

Kukartse village

クッカルツェ・マスジド。

Kukartse village

クッカルツェ村の人々。

 僕たちはチクタン村に戻り新しいプロパンガスをみんなに配る。

 そして夜中までにレーに戻るべく、あいさつもそこそこにして僕らはチクタン村を後にした。さよならチクタン村。

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