Monday 30 May 2011

35.サムラ村の結婚式。

 サムラ村の奥にサムラ・ルンマと言われるエリアがあり、そこはサムラ村の中を流れる川をさらに上流に分け入り、渓谷になっているところのさらに細くなっている針の先っぽにその場所はある。昨日クッカルツェ村より花嫁が奪われてこの地に来た訳である。

 だが昨日は嵐のような雲行きが花嫁の哀愁に拍車をかけていた訳だが、今日は一転して天候は良く穏やかな春の陽気は二人の門出にぴったりで神様もいきな計らいをしたものだと思った。花婿の家に向かう。花婿の家は山の斜面に建っており、すでに来客でにぎわっていて玄関先にも人だかりができていた。

 僕は人だかりを押しのけつつ家の中に入り込んで、花婿の部屋に向かう。花婿の部屋は一番奥にあり部屋の入り口も人で一杯で上がり込んで見ると、花婿は一番奥の壁を背にして座っていた。そして横の壁を背にして花嫁も座っていた。二人揃って見られるなんてラッキーだと思った。

 二人に簡単なお祝いの言葉をかけて花婿と握手をすると、すでに僕の後ろには二人の姿を一目見ようと押し掛けてきている来客でごった返していて(僕もその客の一人なのだが)、面会時間はわずか数秒となってしまった。

ladakh


ladakh




 花婿の家の外に出て、屋外のセレモニー会場に向かう。会場は花婿の家のさらに上に登って行ったところの平たくなっている場所である。

 すでに女性も男性も沢山集まってきていて、近くに引き出物が山のように積まれており、その場所には次から次へと引き出物が管理人に渡されいくのだが、その場所に向かって長い長い行列が出来ていている。

 そしてその行列に並ぶ村人たちの手には、毛布、布団、皿、コップ、電化製品、アクセサリー、お金、そして名前もわからない伝統的なマテリアルなどがあり、それを一つ一つ管理人がノートに書き込んでいく。すると管理人の男から横に座るように促されたので、その横に座ると料理が運ばれてきた。

 始めに運ばれてきたのはサフランライスにダル(豆)がのっている料理で、それを平らげると、今度はチキンとライスが運ばれてきた。一つの皿に盛られているライスの量は日本の茶碗でいうと4杯から5杯ほどであろうか。驚くほどここの人たちは良く食う。そして食うのに痩せている人が多いのだ。

 以前にある方に日本から是非今度来る時は太る薬を持ってきて欲しいと頼まれたのを思い出した。そして一口食べる。チキンの味付けが中東(シリア)で食べた味付けと全く同じだった事に驚いた。普段から食事の量は多いのだが日常の食事の内容は今日とうってかわって実に質素なもので、味付けもちょっと辛いが薄味なのが多いのだ。

 だが今日のような宴になると、普段はお目にかかれない食事に出会えたりする。それもまた、たまに迎える旅人たちを喜ばせたりするのだ。

 そしてその後、セレモニー会場に新郎新婦が現れる。そして大勢で壮大な食事会が模様されるのだ。そう、また食うのだ。前述した通りここの人たちは実に良く食う。実に良く動く。実に良く楽しむ。新郎は男性たちがいるセレモニー会場に入る。そして新婦は女性たちがいるセレモニー会場に入る。

 新郎はバグポと言われる伝統的な姿で現れる。新婦はバグモと言われる伝統的な姿で現れる。ここで村人全員に新婦がお披露目されるのだ。新婦は昨日とはうって変わって、非常に落ち着いており和やかなる中、食事会が進められた。

 そして非常に淡白な雰囲気の中、変わった催しはなく、非常に慎ましく、おごそかに、その宴は春の風が吹くと同時に始まり、進められ、そしていつの間にか風は初夏のそれに入れ替わり、宴は静かに終わった。お二人ともお幸せに・・。

ladakh


ladakh


ladakh


ladakh


ladakh


0 comments:

Post a Comment

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...