Friday 22 October 2010

8.ハマのスークを歩く。

Mosque and moon

 
 僕はハマのスークを歩く。ハマの夜は賑やかだ。ライトアップされている夜のモスクを見上げる。街の喧噪の中に浮かび上がるモスクは、月明かりに照らされた夜の中を飛ぶ夜蝶のようだった。

ハマのスークはダマスカスやアレッポのスークと比べるとずっと小さいのでシリアの流通の中心というわけではない。1500年代にシリアの商人によって作られたと言われている。この小さなスークは観光地としての機能はしていないので、本来のスークの雰囲気を十分に味わう事ができる。本来のスークとは観光客相手に土産物を売っているのではなく、そのほとんどが食料や生活必需品、それにちょっとした嗜好品などを地元のお客相手に売っている市場の事だ。商人の子供たちも商売を手伝ったりしていて、店を任せられている子も多い。生活に密着しているスークは巨大なスークと違い、客と商人の距離が非常に近いのだ。商品を手に取って、または味見して、そして値段の交渉に入る。そんな光景を眺めているとアラビアンナイトの本の世界にでも引き込まれるような気がした。



Children at souq


 スークを歩いていると子供たちが近寄って来る。写真を構えて彼らを撮る。

Kebab


 お腹がすいたのでシャワルマを食べる事にした。スライスした羊肉を串に刺してある。何層もの三角錐の肉の固まりが吊るしてある。それを回転させて熱で焼いていくのだ。店員が焼けた部分の肉をナイフで器用にそぎ落としていく。慣れた手つきでリズミカルなその動作は軽快なダンスを見ているようだった。

Kebab and bread


 たっぷりヨーグルトをかけたケバブをホブスに包んで食べるのだ。食べ方が非常に難しく、下から肉汁とヨーグルが垂れてきそうになる。いろんな角度に傾けながらかぶりつく。ヨーグルトの甘みが羊肉の肉汁と混じり合い、今まで味わった事がない不思議な味が口に広がった。

Mosque in the night


 車の行き交う道路の向こうにライトに照らされているモスクが見える。高く尖った部分は尖塔と呼ばれている部位で、礼拝を告知する時に使う塔である。この部分はミナレットととも呼ばれていて、実を言うとシリアが発祥だと言われている。というのもイスラム教が入って来る以前にキリスト教会として使われていたものをそのまま活用している事が多かったからだ。時代とともにこの尖塔はイスラム建築を象徴するものになっていったのである。

Beans shop at Hama souq


 ナッツ類をアラビーエと呼ばれる台車に乗せて売っている。実を言うとシリア政府はこの無店舗屋台販売を禁止しているが事実上は黙認しているのである。なぜかというと貧困をなくすためにあえて見逃しているらしいのだ。そこの柔軟さがイスラムの社会のダイナミズムを感じるところだ。誰でも商人になれる自然な土壌ができているのだ。

Hama souq


 ハマのスークは古い建物がところどころ残っており、それをうまく店舗に活用している事が多く、なかなかいかしているのだ。夜になると人々がスークに押し寄せてくる。イスラムのスークを一番体感できる時間帯だ。アラビア語での呼び込みの声。商品の値段を交渉している人たち。その人々の間を走り回っている子供たち。一晩中歩き回っても飽きない。

Child at souq


 カメラに子供たちが集まって来る。

Children at souq


「ジャッキー・チェン」
と子供たちに呼び止められる。東洋人はみんなジャッキー・チェンに見えるのだ。子供たちはカンフーのテレビ番組が大好きだ。僕は子供たちとカンフーのまねをして遊ぶ。そんな事をしているとあっという間にたくさんの子供たちに囲まれた。子供たちとカンフーごっこを続ける。僕は蛇拳のまねをして子供たちに迫ると、子供たちは加減をしらないのか飛び蹴りを次から次へとしてくる。僕はそれを捌いて彼らと遊ぶ。そんな事をしていたらたくさん大人たちも見物に集まってきた。収集がつかない状況になってきたのだ。スークの通路は僕を中心に人だかりが出来てきた。そんな流れで僕は空手のデモンストレーションをする事となった。大げさなものがうけると思い、僕は空手の五本蹴りという技を披露する。するとお金がたくさん投げ込まれたので、子供たちはそれを拾い集め僕のところに持ってきた。最後に僕はみんなに一礼をしてデモンストレーションを終わらせた。子供たちから受け取ったお金を数えると、僕はどうやら今日の宿泊費と明日の食費が浮いたようだと思った。

Souq at Hama


 僕はまたスークを歩き始める。

Inside mosque


 スークの中に小さなモスクがあったので、入り口の人たちに「アサラーマアレイコム」と声をかけて中に入って行く。こじんまりとした礼拝場だ。僕は大きいモスクよりこんな名も無い小さなモスクの方がなんとなく好きだった。地元の人たちしか集まってこない、そんなモスクが好きなのだ。

Inside mosque


 壁にはへこみがあり、このへこみをミフラーブと言うのだが、メッカの方角を向いている。この方角をキブラと言う。この方向に向けて礼拝をするのだ。せっかく入ってきたので僕は体を清めた後、礼拝をした。

Noria at Hama

 
 夜の水車もライトアップされていた。夜中のハマの街は治安が良い。夜、女性が一人歩きをしても安全なほどだ。

Noria at Hama


 ハマの水車。

People at Hama


 ハマの水車をバックにカフェでカードゲームに興じる若者たち。 

2 comments:

  1. SECRET: 0
    PASS: 5b8ac5c81c294fc00d6be35fdafae45f
    I'm Heeseung... ^^
    Wow, We went to the same Kebab Store!!
    That kebab was the best in Syria to me... ^^
    * It's too hard to write my comment to your blog. T.T
    "認証用キーワード" It's difficult to write in Japanese...

    ReplyDelete
  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    Long time no see.
    I think that kabab in this shop was good taste too.
    Your Hama's children photo is very cute.
    I often went to your blog.
    I am looking forward to seeing the photograph of your blog.
    I just changed the system of the comment on my blog easy now.

    ReplyDelete

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...