Sunday 10 October 2010

1.ダマスカス、ダハディール地区にて。



シリアのビデオを作りました。是非見てください!



音楽家たちのビデオも作りました。こちらも是非視聴してください!

10月、僕はダマスカスの南のはずれにあるダハディール地区のとあるモスクの前に立っていた。それはそんなに大きくはなく、古くくすんだ白い色をしている青空によく映えるモスクだった。礼拝の時間らしくモスクには白い長着を来た人が沢山集まっている。おごそかな礼拝の時間がゆったりと流れている。モスクの前には一台のフルーツ売りの屋台があり、売り子のお兄さんがしばらく暇そうにしていたが、こちらが気になるのかちらちらと僕の方を伺っている。そして僕はお兄さんと目が合った。気まずいのでにっこり笑う。再び時間だけが流れる。またお兄さんと目が合う。お兄さんが何か話しかけてきた。
「هل تأتي من؟」
もちろん僕はアラビックはまったくわからないので、お兄さんに英語で返したが向こうもさっぱり英語はわからないらしく、とにかく僕が「アサラームアレーコム」と言った言葉だけが通じたので、お兄さんと僕は奇妙な空気の流れに身を委ねつつ、いつの間にか中途半端に打ち解けあっていた。お兄さんは身振り手振りで話をする。意味を推測しつつ僕も身振り手振りで返す。そんな状態がしばらく続いた。そしてお兄さんは僕の前からいなくなり五分後また戻ってきた。お兄さんは仲間を二人連れてきていた。その一人が口を開いた。
「ハロー!どっから来たんだい?」
 彼は英語が少し話せるらしく僕はちょっとだけ安心した。
「日本からです。」
「ここで何をしているんだい?」
 彼が不思議に思うのも当たり前だった。あとで聞いた話なのだが、ダマスカスに来る観光客がこのダハディール地区に入ってくる事などまずないのだ。観光の名所でもなく、宿もなく、まずインターネットではひっかからない地図にさえも載っていない地区なのだ。
 僕は答えた。
「友達を待っている。」
 そう僕がここに立っている理由は友達を待ってるからなのだ。途中で僕もここで何をしているのか分からなくなるほど不思議で奇妙な時間が流れていた。
 あれは数日前の事だった。

 僕はラダックから帰ってきた旅の興奮も覚めやらず、撮りためた写真を整理したり、友人から借りた写真集、ニコラ・ブービィエの「Dans la vapeur blanche du soleil,Zoe,1999(太陽の白い霧の中で)」を見たりして、仕事の合間の時間を過ごしている時にダマスカス在住のラーマ・マフマッドから一本の電話があった。
「シリアに来てみれば?」
 そしてこの一言で僕のシリア行きが決まったのだ。

 僕がラーマ・マフマッドを待っている間に地元の若者たちにいろいろな質問をされていると、礼拝が終わったらしくモスクから人々がぞろぞろと出てきて、老若男女、僕を興味深そうに取り囲んで僕の周りにはいつの間にか人だかりが出来ていた。若者がその状況を嫌って、僕が友人を待っている時間内で、このダハディール地区を案内してくれると言う。干しレンガとモルタルで作られた建物の間を縦横無尽に路地が走っている。もし一人でここに迷い込んだら二度と出て来れないような気がした。路地から路地を若者に案内してもらう。

Dahadeel,Damascus




 ダハディール地区のスーク(市場)を案内してもらう。細い路地に商店街が続いている。路地は舗装はされていないが、想像していたよりは清潔だ。僕は多分オールドデリーを彷徨った時の印象と自然と重ね合わせているのだろう。そうしている間に子供たちが集まってきた。

dahadeel,damascus


 僕はまたモスクの前に戻るとしばらくして、ラーマがお姉さんと連れ添ってタクシーでやってきた。

2 comments:

  1. SECRET: 0
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    ほんとうはハビービーと愛するものを歌う歌声が、
    なぜか最後の孫とおじいちゃんの映像に
    しっくりしてとてもいい感じでした。

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  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    歌詞はそんな内容だったのですね。ありがとうございます。ダマスカスのCDショップを何件も回って、かたっぱしから試聴して、その中から気に入ったものを何枚も買いだめて、その中でもとっておきの一曲です。

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