Thursday 23 June 2011

38.マクシマの独り言。

 私は今日も朝の4時に目覚めると、朝のお祈りをする。外はまだ暗いみたい。お兄ちゃんのメヒディは朝はかなり弱いので隣の日本人の部屋でまだ夢を見ていると思う。お祈りが終わると今日学校でする授業の予習だ。朝早い時間は頭が良く回って、なんでも覚えられる気がする。

 私の足下にはお姉ちゃんの子供のアシアが寝息をたてている。アシアもお兄ちゃんと同じで朝がめっきり弱いのだ。目覚めたては泣いているか怒っているか、どっちかだ。昼間と寝ている時はいい子なのに起きたては、まるで聞き分けの無い子羊のよう。

ladakh


私は今、学校で6クラスに所属している。6クラスといえば私の年ではなかなかすごい事だと思う。これは自慢してもいいと思う。だから同じクラスは年上ばかり。日本人が言っていたけど、日本には年齢関係なく成績でクラス分けをするシステムがないそうだ。

 だから同じ年齢の子はみんな同じ学年なんだって、それを聞いてびっくりしちゃった。だって、英語が出来る子と出来ない子とか数学が出来る子とできない子とかとみんないっしょに授業を進めたら、はちゃめちゃにならないのかな?本当に不思議。あっ今お母さんが日本人の部屋に向った。

 メヒディを起こしに行くみたい。メヒディったらお母さんがいないと絶対朝のお祈りはしないんだから。信じられないよね。ほらね。お母さんの怒号が聞こえてきた。”起きなさい”って今頃は布団をメヒディから引っ剥がしているところね。

 メヒディはきっと夢うつつで起きても軽く1、2分でお祈りを終わらせて、また布団に潜り込むつもりね。お母さんも生易しいんだから。私なら布団ごと隠すわね。さっ、予習、予習。今日の授業はなかなか難しいわ。でもじっくり考えれば必ず分かるはず。集中。集中。あっ外がだんだん明るくなってきた。

 いつの間にかもうこんな時間ね。6時40分。ミルクティーを煎れなくっちゃ。これは分担で決まっているの。日本人のためにミルクティーを用意するの。家はだいたい7時頃から騒がしくなるわね。アシアや他の子たちが目を覚ましてくる頃だから。あっミルクティーが出来上がったみたい。

 ほらまだメヒディと日本人は寝てるみたい。起こさないようにそっと戸を開けて静かに入って枕元にミルクティーを置いてっと。また台所に戻ってきて昨日の夕食の食器の洗い物をしなくっちゃ。食器を抱えて表の水路まできたのはいいが、今日も水はとっても冷たい。今、日本人も起きてきて向こうの水路で顔を洗っている。

 メヒディも半睡状態で出てきたわ。羊を家の一階からシェルターに移し替えているところね。お姉ちゃんのアミナは私と同じくらい朝は早くってもうすでにお母さんと一緒に農作業に出かけてるの。

 メヒディは今度はシェルターには子羊だけ残して、羊と山羊をシェルターから出して、チュルングスの上手にすでに来ている羊使いにこの子たちを渡すつもりね。そうそうこの羊飼いにも面白い話があって、羊飼いが知っている英語がグッドモーニングだけなの。

 だから日本人と顔を合わせると、夕方だろうが夜だろうが挨拶はいつも”グッドモーニング”。

 あっメヒディがなんか言っている。なになに「僕は用事があるから、マクシマが羊使いのところまでこの子たちを連れて行ってくれ。」だって。何言ってるのよ。お兄ちゃんの仕事でしょ。しょうがないわ。私が連れて行くわ。

 この子たちをまとめるのはなかなか大変なんだから。「シー。」「シー。」って声をかけて両手を広げてまとめようとしても必ず一匹は群れから外れる協調性の無い子がいるんだから大変なの。やっとの事でこの子たちを羊使いに渡して戻ってきても、まだ洗い物が残っているわね。

 これを終わらせたらやっと朝食ね。8時30分。みんなが台所に集まってきたわ。みんなタギカンビルを食べるんだけど私は苦手なの。ご飯が好きなの。だからいつも私だけ朝はご飯を食べるの。やっぱりチクターニ(チクタン村の人)はご飯だわ。

 チクターニの心だと思うの。そして食後の挨拶は「シュクリアラー。」日本語だと何だっけ。そうそう、確か、「ごちそうさま。」だったわ。朝食を食べ終わったら学校に行く準備しなくっちゃ。アシアは一人では何もできないので私が髪をといてあげてるの。

 アシアの髪は固くてなかなか大変なのよ。その上寝相が悪いので髪があっちへはねたりこっちへはねたりして、水でといてもまたすぐ戻っちゃう。あっ外からザラやサプラの声がしてきたわ。

 もう学校へ行く時間ね。「マクシマ、ラー。」「ラ、マクシマー。」わかった。わかった。今すぐ行くから待ってて。アシアの手を引いてサプラらと合流だわ。そうね。だいたい私の朝はこんな感じね。「それでは、いってきまーす。」


私たちの人生は始まったばかりよ。
私たちはこの時間を精一杯楽しむの。
私たちの人生のステージはすごく喜びに溢れているわ。
でもね、この私たちのステージは四日間だけなの。
私たちのステージの魔法は四日間で解けてしまう。
私たちはみんな仲のいい友達なのよ。
私たちの間には何も障害はないわ。
私たちは今はお互いに手に手を取るべきなの。
私たちは知っているの。魔法が解けた後の世界をね。
でもね、私たちはそれまで楽しく踊り続けるの。

OOO OOO(オーオーオー、オーオーオー)
          ~プリキー音楽より













ladakh




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