Monday 1 September 2014

34.チクタン・エリアのILP(インナー・ライン・パーミット)の話。

「ツーリスト・エージェンシーで必要な書類を揃えてからまた来て。」

上司が居ないのをいいことに、肩に携帯電話を挟んで恋人と会話をしてる感じの、なんだかとても投げやりに仕事をしているような、そして何も分かってなさそうな、カルギル・ディストリク・オフィスのスタッフからこんな答えが戻ってきた。僕は今チクタン・エリアのインナー・ライン・パーミットを再び取るためにカルギルに来ている。という訳で今からカルギルのバザール内にあるツーリスト・エ
ージェンシーに行き、書類を揃えてこなければならない。ここカルギル・ディストリク・オフィスからバザールまでは普段はタクシーで十分はかからない距離だ。しかし今日は政権交代後のBJP政党から出た初めてのプライム・ミニスターがカルギルの街にやって来ている。ということでバザールまでのセキュリティー・チェックはとても厳しく、道も車の通行を制限されているため歩いて行かなければならない。僕は三つのセキュリティー・ゲートとスティーブ・マーチンやレスリー・ニールセンを横暴にしたような数々の警官たちを突破して、一時間と三十分後にバザールに到着した。

そしてツーリスト・エージェンシーである。答えはそんな書類を持っていないということだ。他のエージェンシーも当たってみたがそんな書類を持っていないということだ。まぁそんなことだろうとは薄々感じていたが、また明日カルギル・ディストリク・オフィスに出向いてみるか。

今、僕が逗留している宿は、バススタンド近くにある一部屋に三つのベッドがついて400ルピーのところだが、ここはドミトリー部屋もあり、そこは100ルピーで泊まれる。スリナガルから一緒にやって来たチクタン村のユスフが、大量の手荷物を持ってきているので、荷物の紛失を恐れて僕らはドミではないこの部屋に泊まっている。この宿はレストランを抜けて、厨房を抜けて、二階に上って行く面白い作りになっている。バススタンドから一番近い安宿だと思うので朝早い出発の移動がバススタンドからある人で、安く済ませたい方にはもってこいの宿だと思うので是非活用してみてください。バススタンドの出入り口を出て、左手に商店が並んでおり、ほんの少し歩くと左手の一階にレストランが見えてくる。そのレストランのガラスにavailable roomと書かれた張り紙が張ってあるのですぐに見つかると思う。

ユスフは大量の荷物とともに今日チクタン村に発つ。僕はインナー・ライン・パーミットを手に入れてから後日チクタン村に行く段取りだ。午後の四時、宿の前にチクタン行きのシェア・タクシーが停まる。僕とユスフは自分達の部屋から大量の荷物をレストランを通り抜けて運び出して、タクシーのルーフに載せる。店内を何度も往復していると、レストランに食事に来ていたシーナ・サイバー・カフェ兼カルギルで一番大きなツーリスト・エージェンシーのオーナーから声がかかる。

「どこに行くんだい。」

「彼は今日チクタン村に発ちます。僕はチクタン村のインナー・ライン・パーミットを取ってから、後日チクタン村に行きます。」

「もうとっくにチクタン・エリアへのインナー・ライン・パーミットは必要ない事になってるよ。」

「・・・・・」




(祝) 2014年度より、晴れてチクタン・エリアへはインナー・ライン・パーミットなしで行ける事となりました。

※ダー・ハヌー・ガルコン・バタリクエリアへは、まだインナー・ライン・パーミットが必要です。

その事を知っているのが、この事を決めた上級役人とインターネットで調べてその告知を見たツーリスト・エージェンシーだけで、カルギル・ディストリクのスタッフもその事を知らず、もちろん警官も軍もそんな事は知らず、ここまで来ると悲劇を通り越して喜劇になってしまっている。この国の行政はきっとシニカルなペイソスに満ち溢れたコメディで成り立っていると思う。



大切なことなのでもう一度言います。

(祝) 2014年度より、晴れてチクタン・エリアへはインナー・ライン・パーミットなしで行ける事となりました。

※ダー・ハヌー・ガルコン・バタリクエリアへは、まだインナー・ライン・パーミットが必要です。




レーからチクタン村へのバスは公共のバス・スタンドから出ています。

このバス・スタンドはレーの街に入るときに大きなゲートと大きなマニ車がある場所があります。そこから少し下ったところにバスがたくさん停まっているエリアが見つかります。そこが公共のバススタンドになります。

チクタン行きのバスは公共のバススタンドより週三回、日曜日と火曜日と木曜日の朝八時より出ています。また直接タクシーをチャーターしても行くことが出来ます。

またチクタンからレーに帰るバスはチクタン村を週三回、月曜日と水曜日と金曜日の朝八時三十分前後に通ります。また直接タクシーをチャーターしても行くことが出来ます。

僕が滞在しているところはチクタン村のズガン地区というところで、バスの運転手にズガン・チクタンで降りる旨を伝えてください。橋を渡るとすぐに右手に学校が見えてきます。そして左側の数えて二つ目の家が僕が出資しているゲスト・ハウス兼住居になります。2014年の八月現在は二階部分の建築中です。もし分かりにくければジャファリ・アリ邸の場所を村人に訪ねてください。





チクタン村の見所。

チクタン城:これはレー・パレスを作った人と同じ名工のシンカン・チャンダンが作りました。廃墟ですが丘の上にそびえるその姿はとても美しいので一見の価値ありです。



ブッディスト家族のゴンパ:ここはムスリムの村ですが一軒だけブッディストの家があります。その中にはゴンパもあり、とても珍しいので是非訪れて見てください。

モラビアン・スクールの子供たち:モラビアン・ミッション・スクール初のムスリム地区の学校で、朝九時に行くとミッショナリーな子供たちの歌声が聞けます。

コクショー村:チクタン村の隣村。ダー・ハヌーと同じダルド系アーリア族のいる仏教徒が多く住む村。とても古い民族で、そしてとても山深い場所で、しかもほとんど情報がないので、とても神秘性に満ち溢れた村になっております。

岩絵群:ラダックで最大の岩絵群がチクタン村から奥に入ったところにあるヨグマカルブー村の奥の谷一面に広がっています。また小規模だがハヌーの対岸(チクタンサイド)にある村の岩絵も魅力的です。

シャシー・ツォ:まったく知られていないチクタン・エリア内の山頂にあるとても美しい湖。

トレッキング・ルート群:

カングラル~サンジャク・ルート 一番ポピュラーで簡単なルートです。このエリアの村々を廻るルートになっています。2日~3日。

チクタン~シャシー・ツォ とても美しい尾根に囲まれた谷を行きます。往復2日。

チクタン~コクショー村 太古の原野を行きます。往復1日または2日。

パルギュ村~チクタン村~ハグニス村~シャカール村 山の中を行きます。往路2日。復路は車道を徒歩か車で戻ってきます。

他にも数多くのトレッキング・コースがあります。

またその他にもまだまだ知られざる見所がたくさんあります。是非皆様チクタン村に訪れてみて下さい。
















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