2011年9月9日金曜日

9.スプートニク・インターナショナル。

 クルネーガラの中心部には、その背後にクルネーガラ・ロックを背負って青空とのコントラストを楽しんでいる石製の時計塔がそびえ立っている。僕とダマはその時計塔の前で待つ事20分、スプートニク・インターナショナルの狩野さんはやって来た。

  スプートニク・インターナショナルとは

 学びたくても学べない子供たちのサポートをします。奨学金制度や交換留学制度をはじめ、図書室の充実、移動 図書館運営、絵本の読み聞かせ、日本語・英語教育、などで、子供達の可能性と自助活動を大切にしています。

 基本的な生活の保障と安全がより多くの人々にもたらされるお手伝いをさせていただいています。
  スプートニク・インターナショナルのホームページより

Sri Lanka


 僕たちは街のマーケットで買い物をし終えるとバスに乗り込みスプートニク・インターナショナルに向う。バスは街を抜けると、静かな森の中の住宅街を通る。フルーツ売りの露店は店先にを様々な彩りで飾っている。僕の滞在している寺の村とは違い、贅沢で美しく大きな家々が目立つ。

 それはまるで軽井沢にでも迷い込んだ気分にもさせる。15分ほどでバスはスプートニク・インターナショナルにたどり着いた。大きな門をくぐり抜けスプートニク・インターナショナルの敷地に入っていく。そのレンガ造りの重厚な建物はイギリス植民地時代のコロニアル風景を作り出している。

 敷地はかなり広い。ここがかつてどこかの大使館だと説明されても、僕は信じてしまうかもしれない。それほど美しく威厳がある建物なのだ。僕たちはディレクターのエシャンタさんからスプートニク・インターナショナルのコンセプトや概歴などをお聞きした。

 エシャンタさんは日本への留学経験もあり、日本をこよなく愛し、武道にも通じ、学をよくし、日本の紳士の条件をすべて持っているような人であった。彼は東京と岡山で過ごした経験が有り、倉敷のわびさびを語る。その後、僕たちは美しい中庭が見える回廊のソファーに座り紅茶をごちそうになる。

 この建物はスクエア型で真ん中に中庭がある。僕は中東の方ではこのような造りの建物は資産家の家が多かった事を思い出す。見上げると四角形に切り取られた形から青い空が見え、そこを雲が眠たげに流れている。子猫がやってきて僕の足下でじゃれている。

 テーブルの上にあった手作りのねずみのおもちゃを彼女の前に走らせると、一目散に飛びつき、それで遊び始めた。紅茶をテーブルの上に置くと中庭に干してある洗濯物が風でひるがえるのが見えた。狩野さんがやって来て、僕たちはスプートニク・インターナショナルの中を案内してもらった。

 日本の小学校の体育館のような大きな部屋があった。そこはかなり広く卓球台が何台も設置してあり、壇上もかなり広い。ここで日本語スピーチの大会も行われるそうだ。授業教室もたくさんあり、部屋の大きさは大小さまざまだ。部屋の窓から時折風が迷い込んでくる。窓の外には緑の森が広がり、その間を風が駆け抜ける。

 校庭にはバナナの畑が見える。また別棟には宿泊施設も有り、図書室も有り、学ぶための環境はこれ以上のものはないと思わせるのに十分な魅力があった。今日は休日なのだが、数人の子供たちが学校に出てきて遊んでいた。

 本を読んでいる子供。校庭のブランコで遊んでいる子供。ボールを蹴ってあそんでいる子供。子供たちにとっての素晴らしい環境がそこにはあった。

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 河野さんと僕たちはここから少し離れているガールズホームへ向う。ガールズホームとは女の子の孤児院の事だ。両親がいない子供。わけあって親元を離れなければいけない子供。ここにはさまざまな子供たちが住食をともにしながら勉強をしているのだ。

 トゥクトゥクでスプートニク・インターナショナルより10分ほど森の中を走った所にそれはあった。入り口の門をくぐり詰め所でサインをして中に入る。建物はまだ新しく、緑の森と青い空の元それは建っていた。建物に入ると奥の広い部屋で子供たちは美術の授業を受けていた。

 切り絵のようなものを作っている。今日は男性の先生が授業を担当していた。子供たちは真剣に作品を作成している。今日は13名程の子供が授業に参加していた。窓の外には校庭が広がっており、その向こうは森だ。このホームは緑の森の中にある。この静かなで美しい自然と新しい校舎。

 この素敵な環境の中で子供たちは生活をしているのだ。昼になったのでこの教室で僕ら昼食を頂く。テーブルに運ばれてきた料理はボーンチというインゲン豆。ココナッツの和え物。マッルンと云われる野菜を刻んだ料理。ドレッシングがたっぷりかかったサラダ。パパダンと云う名の日本のスナック菓子のような揚げ物。

 これらをご飯に少しずつ乗せて、手でこねながら食べるのだ。僕は手で食べる生活に慣れてしまって、骨が多い魚なんか箸より手の方が重宝する。僕はきっと箸をうまく使えなくなっているような気がする。最後にワッタラッパンというココナッツと卵を使ったプリンのようなデザート。

 これも不思議な味と食感のデザートだ。ココナッツと卵の風味に非常に濃い甘みが被さって、口の中に広がるのは、南の島の新感覚の味だ。僕たちは食事を終えると狩野さんから一冊の本を見せて貰った。

 ”南の島の「プルワン」”というこの絵本は、ストーリーは日本人のスタッフによる創作だが、絵はこの施設の子供たちによって描かれている。子供たちの優しい絵は独特のストーリー展開の上をまるで魔法のように踊る。この本もこの施設もたくさんの人々の援助によって出来上がっている。

 またこの施設の敷地内に今、製紙工場の建設が進められている。しかしそれは一方的な援助ではなく、この本は社会システムの中で一冊の立派な本として認められ、また製紙工場は施設を出ても子供たちが安心して働けるような場所を提供しようとしている。

 このスプートニク・インターナショナルはスリランカ社会での子供たちの問題を、一歩ずつ着実に優しい目で解決しようとしている南国のさわやかな風のような団体なのだ。社会の片隅のほころびを毎日少しずつ縫い繕っているのだ。

 それに使われているのは、心とか愛とかきっとそんな名前の糸なのだろう。それは世界で一番強くて決してちぎれる事の無い糸だ。涼しげな風が吹いた。僕は南国の優しさを肌に感じた気がした。

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