Sunday 11 September 2011

11."Arogya" Foundation For Disabled

 最近はケッタラーマ寺のウェブページの制作に追われていてなかなかブログが更新できずにいたが、ウェブの仕事も落ち着いてきたのでブログに少し専念しようかと思う。

 クルナーガラからバスに乗ってコロンボに向う。雑踏の中の停車場から古バスがギシギシと動き出すと、ここぞとばかりに開け放たれたドアより売り子が次から次へと乗り込んできた。水の入ったペットボトルを売り込みにやって来る者。お菓子や子供用のおもちゃを売り込みにやってくる者。

Sri Lanka


地図を売り込みにやってくる者。さらには入ってくるなりお経らしき言葉を唱えて乗客一人一人からお金を集め始める者(彼らは僧ではない)。使い方がよくわからない謎めいた商品を頭上にかざして見事な口上でそれの説明をし始める者。そう長距離のバスにはさまざまなベンダーたちが乗り込んでくるのだ。彼らは見事な口上師だ。クルネーガラの寅さんたちなのだ。

 古バスからの車窓の景色は、しばらくクルネーガラの雑踏街の風景が続くが、走り始めて30分程で刈り入れ後の田園が広がり始め、その向こうにはやはり青く深いジャングルが雑多な生き物たちを内包しつつ広がっているのが分かる。

 こののどかな景色の中、青い空に浮かぶ太陽のもと一直線にただただ一本の道が地平線まで続いているのが見える。それはまるでジャングルの中で一頭の巨虎がつけた引っ掻き傷のような一本の道だ。開け放たれた窓からは日本で云うところの秋のような風が入り込み、一番暑い時期の夏の終焉を感じさせた。

 スリランカの田は刈り入れが終わると、また耕し水を引き入れ、すぐに次の若い苗を育てる準備にかかる。暖かいこの地方では稲は一年に二回収穫ができる二毛作が行われる。日本でも昔は二毛作が行われていたらしいが(前期は稲、後期は大豆など)、今はそんな姿を見かけることはほとんどなくなってしまった。

 日本では今、黄昏れ時に秋のトンボが田の空を覆っている頃だろうか、はたまた彼らは秋の嵐から木々の間にでも身を隠している頃だろうか。そんな事を考えながら僕はぼんやりと車窓の風景を眺めている。しばらくして近くに座っていた慈永祐士僧が左右に体をゆっくり動かした。どうやらコロンボに到着したようだ。

Sri Lanka


 古バスに揺られて三時間程でコロンボの街に到着した。コロンボはクルネーガラに比べるとすこぶる暑い。夏の終わりの使者はまだコロンボには来ていないようだった。僕たちはコロンボの街でバスに乗り換えて、近郊の街まで移動する。

 そのバスは古バスからおんぼろバスへとグレードダウンしたが、乗客たちに地面の凹凸を感じさせながら走るけど、まだまだ現役だ。スリランカで走っている車は90パーセント以上が日本車だ。車の横には~商店とか~有限会社とかペイントされた車がたくさん走っている。

 バスもまたしかりで横面に三ツ矢観光自動車とか愛宕交通とかペイントされたバスが目の前を何台も何台も行き交う。僕たちが乗ったバスは稀なインド製のバスで、運転席の横に当たる中央部には巨大なダッシュボードが設置してあり、そこから骨太なギアレバーが伸びている。

 インドでは混雑時その巨大な箱の上に乗客が所狭しと座っていた。ギアをチェンジするたびに乗客にぶつかるのでそこからはキャンキャンと子犬が鳴くような音をたてていた事を思い出す。

Sri Lanka


Sri Lanka


Sri Lanka

         
 30分ほど走るとマハラガマの街に着く。この街はコロンボの回りに点在している小さな街の一つだ。その街のとある寺院に寄り僕たちは行水をした。そしてその寺院よりトゥクトゥクで15分ほどの所に目的のお寺、マハメーガラ寺に到着した。

 慈永祐士僧はこのお寺の社会福祉のチームと合流して、体の自由が利かない、なおかつ経済的に豊かでない人々のために、車いすなど補助用具を無償で提供するための会に参加するのだ。僕はその会の取材でついてきた訳だ。台湾からやってきてスリランカに4年間滞在している尼僧も参加して、国際色豊かな会になっていた。

 その会の始まりは突然でかつささやかにやってきた。民族衣装で着飾った青年たちが僧の前で聖なる踊りを披露しだす。刻む太鼓の音に合わせて男たちは踊る。僧たちはその踊り子たちに誘導されるように歩を一歩一歩ゆっくりと進める。夜の舞いは神が宿るが昼の舞いには黄泉の魂が宿る。

 僧たちは一人一人女性たちより蓮の花を譲り受け、それを釈迦仏の前にお供えをする。そしてそのまま会場へと足を向ける。すでに会場にはたくさんの人が溢れており、僕は会場の淵をなぞるように歩くとメディア席に座る。そして"Arogya" Foundation For Disabled主催のそのイベントは幕を開けた。

 僧たちが一人一人会場の皆様へのお言葉が述べられる。慈永祐士僧の番が回ってくるとマイクを片手に流暢な英語で人々の心にも届かんとばかりに法話を丁寧に述べられる。僧たちのお言葉がすべて終わると、会のメインイベントに移り、車いすなどの補助用具が体の自由がきかない人々へ進呈されるのだ。

 車いすを受け取った老人や少年や少女たちは、みな一様に嬉しそうな顔をしていた。社会福祉チームのジェネラル・ディレクターのアリヤダンマ氏も足がご不自由で杖をついて歩かれるのだが、そんな事はおかまいなしと云わんばかりに、人々の中を忙しく足を引き摺って歩き回られている。

 会も終盤に差し掛かり、最後にみんなで集まって記念撮影をすると最高の笑顔とともにお開きになった。僕たちはこの近くのお寺で一泊して次の朝一番のバスでコロンボそしてクルネーガラに向った。

Sri Lanka


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