Thursday, 24 July 2014

Monday, 21 July 2014

28.スリナガルにて。

僕はある用事でスリナガルに来ている。ついでなのでこのスリナガルについて少し語ろうかと思う。スリナガルはインドがイギリスの植民地だった頃より、イギリス人たちの避暑地としてその名を轟かせており、今でもカシミーリの間ではインドの中の天国と呼ぶ者は多い。1947年にインドがイギリスから独立を勝ち取った後も、1980年代までは諸外国からの観光客が数多く、避暑地としてのこの地を訪れていて、東洋のスイスと呼ばれていたのはあまりにも有名な話だ。199...

27.ヘミス・フェスティバルとゴツァン・ゴンパ。

また僕はダンマ・ハウスに滞在しているわけだが、この七月の初旬はチョグラムサルでのダライ・ラマによるカラーチャクラ・ティーチングがあるので、ダンマ・ハウスは外国人観光客と外国籍のお坊さんとであふれていた。そこで一番親しくなったのは、イスラエル人のロイで、彼は壊れやすく繊細な心の持ち主のとても優しい男なので、かの国では生き難いのではないかと心配になったりする。よく彼がダンマ・ハウスのテラスに座り、ギターを抱え、ボサノバを爪弾いている姿を良...

26.スクルブチャン・ゴンパ。

アチナタン村出身のダンマ・フレンドの計らいで、僕はスクルブチャン・ゴンパに行くことになった。オンボロバスはレーの街を出発するとレー・スリナガル・ハイウェイをひたすら走る。途中の分岐点でハイウェイは橋を渡るとラマユル方面へ、橋を渡らずにインダス川沿いに進むとダー・ハヌー方面に出る。バスは橋を渡らずにダー・ハヌー方面へ行く途中にあるスクルブチャン・ゴンパに向かう。左側にインダス川を見ながら徐々に標高を下げていく。インダス川沿いの狭い土地の...

25.ザンスカール・パドゥムでのダライ・ラマによるティーチングとその他のエピソード。

開門された朝のポタン・ゴンパには、すでにたくさんの人が集まっていた。外国人用のスペースには昨日よりも多い50人ほどが来ており、その中には日本人が4人と、高い占有率を占めていた。そして今度新たに知り合いになった日本人は、しんのすけ君といい、明治大学を一年休学して、沢木耕太郎の深夜特急さながらのルートをたどり、日本からポルトガルまでを陸路での走破の途中だという事だ。もちろん彼のバックパックの中にはその深夜特急が全巻入っている。 ...

24.ザンスカール・パドゥムでのダライ・ラマのティーチング一日目。

さて朝の五時にもぞもぞと起き出すと、パドゥムのアパートの部屋の同居人たちももぞもぞし始める。その部屋は平時ならアクショー村から出てきて学校に通う子供たちの住まいになっているのだが、今日ははれてダライ・ラマのティーチングということもあり、アクショー村からの村人が簡易宿としてこの狭い部屋を使っている。毎日夕刻に戻ると違う顔ぶれがいて、お互い毎日が新しい仲間なので、これもまた楽しいのである。外の薄闇の中で顔を洗い、歯を磨き、体を濡れタオルで...

23.ザンスカールのドルジェゾン・ゴンパとパドゥムの王宮。

谷を挟んで東側がカルシャ・ゴンパ、西側がドルジェゾン・ゴンパになり、このドルジェゾン・ゴンパというのは、ナン・ゴンパ(尼僧のゴンパ)のことで、僕たちはそこに向かう。カルシャ・ゴンパの裏手に回り込み、西へ続く小道を少し入っていくと、すぐに谷が見えてくる。谷はザンスカールでは中規模の大きさで、かといって浅い訳ではなく、そこにはヒマラヤの山から運ばれてきた清流が横たわっている。対岸のドルジェゾン・ゴンパは山の中腹にあり、そこに向かって山のす...

22.ザンスカールのカルシャ・ゴンパ。

僕とスナフキンさんとタンチョス僧侶は車道を歩いている。道はだだっ広いパドゥムの平原を横切って遥か彼方の対岸のカルシャ・ゴンパへと続いている。もちろんこの平原の上に対角線などというものがあるとすれば、その先っちょのパドゥムの町から反対側の先っちょのカルシャ・ゴンパまでは歩いても歩いても今日中にたどり着くのはきっと難しい。しかし僕たちは無言で歩いている。いい風が吹いている。どうにかなりそうなそんな予感はする。対角線の半分近くまできただろう...

21.ザンスカールのパドゥム。

僕とタンチョス僧侶はパドゥムに向かう。途中のトゥングリ・ゴンパ(ナンゴンパ)のある村を抜けると、とても広い平原が目の前に現れる。どうやらパドゥムに入ったようだ。その平原の広さは尋常でなく、ザンスカール自体はとても広い谷が多いのだが、それでもヒマラヤの山々に囲まれたこのラダックでは毛色の違う土地の形状をしている。とても高い場所にある原っぱなのに、目立った凹凸はなくとても平たく広い。言ってみれば山々の間の宇宙のよう広い空間に緑のペルシャじ...

Wednesday, 16 July 2014

20.ザンスカールのゾンクル・ゴンパとスキャガン・ゴンパ。

僕とノルブ兄はゾンクル・ゴンパのあるトクタ村まで、トラックの荷台に揺られながら走っている。この時点で肝心のノルブ本人から連絡があり、チリン村からストクまでのトレッキング・ガイドの仕事が入ってしまい、今回はザンスカールまで来れないということだ。僕は少し頼りないがお兄さんと行動を共にすることとなった。いつしかトクタ村に到着し、僕らはトラックを降り、そのあたりを一望してみる。ほんの少し丸みを帯びた大地に高山植物が群生しており、そのところどこ...

19.ザンスカールのアクショー村。

とある村の朝は深い靄に包まれていた。僕たちは再びバスに乗り込むと、さっそく出発した。バスは荒涼とした不毛をひたすら進む。右手に大きな氷河が見えてくる。その氷河の名前はドラン・ドゥルン氷河。ザンスカールではもちろん一番大きな氷河だし、ラダックでも一番大きな氷河とされている。山あいにそれは大きくうねりながらへばりついているようで、氷河自体の重みでそれは少しず生きてうごいている。氷河を通りすぎると、小さな湖がいくつも見え、とても標高が高い...

Tuesday, 15 July 2014

18.ザンスカールへ。

今、僕は公営バスに揺られてザンスカールへ向かっている。ダンマフレンドのノルブの計らいでザンスカール行きが実現したのだ。レーのオールド・バス・スタンドで750ルピーを払い、バッグパック類は屋根に載せてこのオンボロバスに乗り込んだのだ。朝五時半に出発したバスの右前の座席には日本人らしき旅行者も乗り込んでいる。今回のザンスカール行きの最大の目的は、カラーチャクラの前夜祭としてパドゥムで行われることとなったダライ・ラマによるティーチングに参加...

17.ザンスカール・リバー・ラフティング。

ダンマハウス・サマーキャンプも終盤に入り、ある朝再び生徒たちは教室の外に呼び出される。そして生徒たちはそこで今からザンスカール・リバー・ラフティングに行くことをヴィヴェックから告げられる。振り向くとあのオンボロバスがすでに停まっており、生徒たちは身支度を整えると早速そのバスに乗り込む。バスはストクを出発するとインダス川沿いをひたすら北上する。空港を通りすぎると左手にスピトク・ゴンパが見えてくる。このゴンパはこのレー・スリナガル・ハイウ...

16.チェムデイ・ゴンパとスタクナ・ゴンパ。

ダンマハウス・サマーキャンプも中盤に入り、タイトに組み込まれたプログラムに従って日々は過ぎていくが、その斬新な内容は決して退屈するものではなく、日本では経験することがまずないものばかりなので、面白いし、興味深いし、楽しいし、嬉しいし、気持ちはいいし、大変ためになる事ばかりの毎日が過ぎてゆく。そんなある日の朝、ダンマハウスに一台のオンボロバスが乗り込んできた。生徒たちはバスに乗るように促され、その中で今からゴンパを巡るスタディ・ツアーに...

15.ストク・ベースキャンプ・トレイル2。

山小屋を出発して再び僕たちは歩き始める。峠と谷をくりかえし奏でるこのトレイル・コースは止むことのない交響曲のようにも感じてくる。とある峠を越えると面前の谷から冷気が吹き込み、真っ白な雪が川沿いを覆っている。コースは谷に降りていくように続いており、いつしかそのコースも雪に飲み込まれていく。雪上を歩くと雪はさくさくと音をたてつつ靴はその重みで沈んでいき、時おり雪上に現れる亀裂は浅いクレパスである。雪面の端は薄くて脆く踏み抜くと川面に転落す...

14.ストク・ベースキャンプ・トレイル。

ある朝のセッションが終わると生徒たちが外に並べさせられる。生徒たちは眠たげなまなこを擦りつつなんとか立っている。セッションはタイトながらプログラムは斬新で毎日が新しい朝だが、生徒たちは新たな変化を欲していた。ヴィヴェックが生徒たちの前に立つと一言いう。 「今からストク・ベースキャンプ・トレイルに行く。五分以内に用意をしてもう一度ここに集まること。」 生徒たちの間から歓喜の声が上がる。ストクには標高六千百メートルのストク・カングリという...

13.ダンマハウス・サマーキャンプ

僕は両側を土の壁で囲まれたストクの遊歩道を大きな三つのバックパックを背負って歩いている。雲は低く空は高い。後ろでクラクションがひとつ鳴る。細い道の中、砂煙を高く巻き上げつつ一台の古バスが近づいてくる。僕の横をすり抜けていくそのバスの窓から覗く顔が一様に何かを言う。 「ホンジョ!」「ホンジョ!」 どこかで見た顔がバスの窓に一列に並び、爽やかな歯を見せながら笑っている。僕は再び戻ってきた。仲間たちも再び戻ってきた。明日からダンマ・ハウスことインターナショナル・スクール・オブ・イングリッシュ・スクール・ラダックで始まるDhamma...
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