朝、ヘルス・セントレ・カルドゥンで薬を処方してもらう。軽い肺炎だった。昨日は一晩中咳き込んで夜を明かした。喘息の一歩手前の症状だ。このエリアの風土病でもあるこの病気は砂の多い場所でよく見られる病気なのだ。だからこのチクタン村にも慢性的な肺炎や喘息の人は多い。
とくに子供たちの間で蔓延している。この砂が肺に入る事でアレルギーを誘発して咳が止まらなくなる。喉が痛くても喉飴などは使わない方がいいだろう。なぜならば飴によリ喉に付着した...
Thursday, 30 June 2011
Wednesday, 29 June 2011
44.羊追い。
黄昏時、山から戻ってくる羊たちのおかげでにわかに村内は騒がしくなる。汚れてすり切れた赤いジャンパーを羽織った羊使いに連れてこられた羊たちの群れは、村に入ると一斉に羊使いの手から解放される。羊たちの無数の土を踏む音と舞い上がった砂煙が、村人たちと羊たちの捕物帳協奏曲の序章の幕開けとなる。
この瞬間から村人たちは自分の家の納屋に羊たちを連れ戻すための奔走が始まるのだ。もっぱらこの役目は子供たちが引き受ける場合が多い。村中の草をつい...
Tuesday, 28 June 2011
43.真夜中のパーティ。
部屋で書類を作成している時に、部屋に入ってきたメディの友人は僕に
「今夜、パーティがあるから来るように。」
と一言云うと部屋を出て行った。
僕は仕事を片付け、洗濯物を取り込んで外を見ると、黄昏の中に輝く白と黒と青で体を覆い尻尾が幾分長く美しい二羽の鳥、カシャン・ブルーが自分たちよりも大きな鴉を相手に、頭脳的な連携空中戦術を使い、一羽が滑空しながら鴉をつつき、嫌がる鴉は方向を変え飛ぼうとするが、もう一羽がその行く手に先回り...
Monday, 27 June 2011
42.チクタン村のつれづれなるままに 其の四。
白無垢の自然の中に佇んでいる学校は、たとえそれが新築であっても砂は風に吹かれて、ほこりは彼の体で舞い、緑は彼の周りで容赦なく踊りつつ、気分が乗らないと太陽を隠したりし、動物たちの咆哮は彼の中でなにやら学んでいる人といわれる動物の声をかき消したりする。
しかしそれらは決して悲観することではなく、自然が人間たちを受け入れた証拠でもあるのだ。そんな自然の枝葉のひとつである学校の標語はひめやかにかつ微笑ましくも"Human made is...
Sunday, 26 June 2011
41.チクタン村のつれづれなるままに 其の参。
チクタン村の人々の食事は実に質素なものである。主食は米と小麦。米の料理はバトーと呼ばれ、あつあつのご飯の上にかけるスープが何であってもその料理はバトーである。
スープにはいろいろな種類がある。塩とチリと野菜。チリとマサラと野菜。羊の肉とチリマサラスープ。チキンとチリマサラスープ。
...
Saturday, 25 June 2011
40.チクタン村のつれづれなるままに 其の弐。
チュルングスの方が何やら騒がしいので行ってみると、男と女がけんかをしている。そしてその男女を取り巻くように村人たちが興味深くその様子を伺っていた。女はスコップでチュルングスのストリームから支流作って小麦畑に水を引き込もうとしている。男はその支流を壊しにかかっている。
男が壊すと女は大声で男を罵倒しながらまたスコップで支流を作り始める。男が壊す。女は男を罵倒する。女は支流を作る。そしてそれが繰り返される。日にはんなりと焼けた女の...
Friday, 24 June 2011
39.再びクッカルツェの結婚式。
今日もまた結婚式がある。この前と同じクッカルツェ村でだ。新婦がクッカルツェ村出身で、新郎はここからおおよそ20キロほど離れたところにあるサンジャク村の人だ。今日は新郎の親戚や友人たちがクッカルツェ村の新婦を奪いにくる日なのだ。
今日が終わると明日はサンジャク村で続きの式が執り行われる。新婦の村、新郎の村両方の結婚式をたくさん僕は見てきたけれど、やはり面白いのは新婦の村の結婚式だ。友人たちが新婦の前で踊るダンスは楽しいし美しい。...
Thursday, 23 June 2011
38.マクシマの独り言。
私は今日も朝の4時に目覚めると、朝のお祈りをする。外はまだ暗いみたい。お兄ちゃんのメヒディは朝はかなり弱いので隣の日本人の部屋でまだ夢を見ていると思う。お祈りが終わると今日学校でする授業の予習だ。朝早い時間は頭が良く回って、なんでも覚えられる気がする。
私の足下にはお姉ちゃんの子供のアシアが寝息をたてている。アシアもお兄ちゃんと同じで朝がめっきり弱いのだ。目覚めたては泣いているか怒っているか、どっちかだ。昼間と寝ている時はいい...
Wednesday, 22 June 2011
37.再びサムラ村で結婚式。
6月は結婚式が多い月であるが、9月10月はもっと多く毎日のようにどこかで結婚式があると言う話を聞いた。だから9、10月のチクタンエリアは結婚式で作られているようなものなのだ。でも今は6月、だけども日本のそれよりも結婚式が多いのは確かだ。
結婚式が多いと言う事は子供も村には沢山いると言う事になるのだが、僕がお世話になっているジャファル・アリ一家もご多分に洩れず家族数が多い。彼の子供は12人いる。
だから朝はもう毎日大忙しだ。...
Monday, 20 June 2011
36.チクタン村のつれづれなるままに 其の壱。
夜中に一度目が覚めた。
「水道の水が流しっぱなし・・・。」
そう僕は寝ぼけていたのだ。水が流れる音は水道からの音ではなく、外を流れる疎水が一段低いところへ滴り流れ落ち続ける音だったのだ。たまに通勤ラッシュの夢などを見て目を覚ます事がある。去年まで現実だった事が夢の世界だけの出来事となって、去年まで夢で見ていた出来事が現実の世界になってしまっているのだ。
夢から覚める時、一瞬にしてその出来事は入れ替わり頭の中は短い間混乱す...
